インターネット環境が各家庭に普及し、クラウドソーシングの仕組みが発展したおかげで、誰でも在宅ワークに挑戦できるようになりました。今やスキマ時間を活かしてスマホひとつあれば作業ができる軽い案件から資格が必要な専門職まで、在宅ワークにはさまざまな職種があります。
資格があれば高い報酬が期待でき、在宅ワークをお小遣い稼ぎや副業ではなく、主たる収入源とすることも可能でしょう。資格の面から分類した在宅ワークの種類と安定した受注に有利な資格をご紹介します。
在宅ワークにはいくつか種類がある
在宅ワークは「子育て中・介護中でも働きたい」「通勤電車が苦手」「地方で働きたい」「自宅で集中して作業に取り組みたい」「いずれ起業したい」など、さまざまなニーズを満たしてくれる働き方です。
自身の興味のある仕事に資格が必要なのかどうか確認しておきましょう。
資格がないとできないもの
国家資格によって独占性が担保されている職業は、国家試験を受ける必要があります。なかでも代表的な14種類を列記します。これらは総称して「士業(しぎょう・さむらいぎょう)」と呼ばれています。
弁護士/弁理士/司法書士/行政書士/税理士/社会保険労務士/土地家屋調査士/海事代理士/公認会計士/技術士/一級建築士/不動産鑑定士/中小企業診断士/ファイナンシャル・プランニング技能士
資格がなくてもできるもの
専門職でも数年の実務経験があれば、資格がなくても応募できる職種は数多くあります。民間資格などは自身のスキルをわかりやすく証明してくれるものなので、職務経歴書や作品例などで代替できるのであれば、資格にこだわらなくても仕事がスタートできるでしょう。実力主義ともいえるIT系・クリエイティブ系では、その傾向が顕著です。
また、講師・コンサル業・カウンセラーなども、経験と人としての魅力が重要視される職業といえるでしょう。
完全未経験でもできるもの
在宅ワークには未経験OKという案件も多数あります。データ入力・ネットリサーチ・WEBライター・テープ起こし・答案採点・コールセンター・在宅事務などさまざまな仕事が、求人サイトやクラウドソーシングサイトで「未経験者歓迎」のカテゴリに掲載されています。
ハンドメイド品のネットショップ運営やブログ運営(アフィリエイト広告)、動画配信などもトライしやすい在宅ワークとして注目されています。また、自宅でのシール貼りや袋詰め、縫製、書類の封入など、昔ながらの「内職」もスキル不要の在宅ワークとして根強い人気があります。
在宅ワークをするうえで有利な資格とは
未経験OKの仕事は手軽にトライできる一方で、やりたい人が多いので単価が低くなりやすい、高単価の仕事は経験者の方が採用されやすい、といったデメリットがあります。
まとまった収入を得たいと考える場合には、在宅ワークに有利な資格を持つとよいでしょう。
日商簿記検定
簿記は企業の経営活動を記録・整理して、経営状態を把握できるようにする技能です。3級から1級まであり、2級以上を取得していると経理の仕事に有利になります。
業務委託で仕事を請け、出来高制の報酬を得る場合や時給1,500円~2,500円のアルバイト契約、正社員雇用などのスタイルがあります。
WEBライティング能力検定
WEBライティング能力検定は日本WEBライティング協会が認定しており、ライティングのスキルが体系的に学べる検定です。年4回試験が実施され、点数によって1級~3級に振り分けられます。WEBライターを仕事にしたい方はぜひ1級を目指しましょう。
同様の検定に、日本クラウドソーシング検定協会が主催する「WEBライティング技能検定」もあります。
WEBデザイン技能検定
WEBデザイン技能検定は、2007年から実施されているホームページ作成に関する技能検定です。技能検定は国家資格であり、1級の合格者には厚生労働大臣から、2級・3級の合格者には指定試験機関のインターネットスキル認定普及協会から合格証書が発行されます。業界未経験なら3級から挑戦しましょう。
マイクロソフトオフィススペシャリスト
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、パソコンでの仕事に欠かせないWordやExcel、PowerPointなど、マイクロソフト オフィス製品についてのスキルを証明できる資格です。
資格勉強がそのままスキル向上の手段となり、データ入力など仕事の作業効率が上がれば時間当たりの生産性が高くなるでしょう。
TOEIC
英語を活かした仕事がしたいなら、TOEICを受験しておきましょう。学生のうちに受験したことがあるという方も多いのではないでしょうか。仕事につなげるなら500~600点以上、高単価の仕事を狙うなら800点以上の結果が欲しいところ。需要の多い通訳・翻訳業務に直結するTOEIC Speaking & Writingもおすすめです。
TOEFL
TOEFLもTOEICと同じくアメリカのテスト機関による試験です。TOEFELはアメリカへの留学時に必要な英語力を測る試験なので、TOEICが日常会話やビジネス英語での出題が多いのに対して、TOEFELでは学術的な用語や大学での講義に関するテーマがよく出題されます。
学術的な文献の翻訳に挑戦したい、アメリカ留学を目指す人に向けて英語を教えたいという方はTOEFELを受けておくとよいでしょう。海外の大学は留学生にTOEFEL80点以上を求めているケースが多いので、仕事に活かしたい方はこれ以上のスコアが必要だと考えられます。
ヨガインストラクター
ヨガインストラクターになるには、必ずしも資格が必要ということはありませんが、安全に指導できるという信頼を得るためには持っていた方がよいでしょう。ヨガの資格には、メジャーな「全米ヨガアライアンス認定資格」から「インド中央政府公認資格」「国内ヨガ団体のヨガ資格」「通信教育のヨガ資格」まで、多種多様なものがあります。
オンラインでのヨガやパーソナルレッスンの需要は増えているので、自宅でも始めやすいお仕事です。
専門的な資格を活かして働く道もある!
感染症対策や地方での人材不足などによりテレワークの可能性は大きく広がっており、従来なら出勤したり事務所を構えたりしていた専門職でも、在宅ワークを選択する人が増えています。
専門的な資格を持っていればブランク後にも復帰しやすいので、ライフステージの変化によって働き方を変えていきたい女性は特に「手に職」をつけることをおすすめします。
看護師
看護師の資格は、大学または短大・専門学校などで学び、国家資格に合格することで得られます。病院勤務のイメージが強いですが、オンライン健康相談やヘルスケアカウンセリングなど、在宅での働き方も可能です。
心理カウンセラー
心理カウンセラーは資格がなくても名乗れる職業ですが、国家資格の「公認心理師」やメジャーな民間資格である「臨床心理士」を取得しておくと、信頼性が高くなります。
通信教育などでも心理関連の資格を得ることはでき、「ひきこもり支援」「ペットロス相談」「ストレスマネジメント」などジャンルが細分化されているので、得意分野を磨くのもよいでしょう。
管理栄養士
管理栄養士は、大学または専門学校の管理栄養士養成課程で学ぶか、栄養士の資格を取得してから2年以上の実務経験を積んで国家試験を受けることで得られる国家資格です。
個人の食事やダイエットをオンラインで指導したり、企業に勤める社員へ栄養指導をしたりという仕事が在宅勤務で可能です。
宅地建物取引主任者
いわゆる「宅建」は、受験資格に4大卒などの学歴が不要なので、働きながら不動産業界を目指したいという方に人気の資格です。在宅勤務OKの不動産仲介会社や住宅営業会社、インテリアコーディネーターなどの職に就くことができます。実務経験を積んでいけば、いずれ開業することもできるでしょう。
司法書士
司法書士の主な仕事は、企業や個人に代わって法務局や裁判所へ提出する書類を整えることです。司法書士は隣接法律職ともいわれ、年齢・学歴を問わず受験可能ですが、2019年度の合格率は3.6%と狭き門になっています。
在宅勤務OKの司法書士事務所に勤めたり、自宅で開業したりという道があります。
行政書士
行政書士は、弁護士・司法書士に次いで難しい法律系資格として知られています。法務局以外の官公庁へ提出する各種申請を代行するのが仕事で、企業や個人からの需要が多く、安定して働ける資格として人気です。
社会保険労務士
「社労士」は、労働・社会保険・労務管理に関する知識を用いて企業の書類や帳簿を作成します。これは社労士でなくてはできない仕事なので、需要が途切れることはないでしょう。在宅OKの正社員として採用されたり、労働に関するコンサルタント業をオンラインで展開したりという道があります。
「社労士」になるには、学歴・実務経験・厚生労働大臣が認めた国家試験合格など細かく定められた受験資格を有したのちに、国家試験を受ける必要があります。
まとめ
「在宅ワーク」とひとことでいっても、仕事にかける時間やスキルの必要性、資格の重要性などは、働く手の考え方ひとつで変わってきます。スキマ時間にお小遣い稼ぎをしたいのか、副業として収入源を増やしたいのか、いずれ専門的な職業で自宅開業したいのか……。いずれにせよ、まとまった収入を得たいのなら、目指す仕事に合った資格を持っておくと在宅ワークへの挑戦が成功しやすくなるでしょう。