副業と聞くと、大多数の人が会社勤めの人が取り組むというイメージを持っているでしょう。しかし、実は会社を経営する側の人にとっても、経済的な安定などのメリットがあります。
今回は経営者に副業がおすすめできる理由と、経営者向きの副業の種類を具体的に解説します。会社経営で強い不安やストレスを感じている人は、ぜひ一つの選択肢として参考にしてください。
経営者にも副業がおすすめの理由
会社経営者は、わき目もふらずに経営に集中すべきと思われるかもしれません。しかし、会社経営にはリスクもつきものですよね。保険として、あらかじめ副業に取り組んでおくのがおすすめです。経営者に副業がおすすめの理由は、主に4つあります。
- 収入に関する不安を減らせる
- 選択の幅が広がる
- 利用できるものが多い
- 社長は潰しがきかない
それぞれ詳しく解説します。
収入に関する不安を減らせる
安定した副収入があれば、経済的な不安が軽減できます。毎月契約通りの給与が受け取れる会社員と違って、経営者の収入は事業の売上にダイレクトに左右されるために大きく変動します。特に事業が安定するまでは、経済的な不安からくるストレスも大きいでしょう。
起業したばかりの場合には、事業が軌道に乗るまでのつなぎとして副業するのがおすすめです。事業の売上以外にも収入源を確保しておけば、リスクを減らして会社経営に臨めるでしょう。
選択の幅が広がる
事業展開の選択の幅が広がる点でも、経営者の副業は有益です。事業は必ず成功するとは限りません。1つの事業に固執してしまうと、それが失敗したときに廃業するしかありませんが、副業があればそちらに軸足を移して軌道修正が可能です。副業という形で小さなビジネスを手がけることで、より経営のフットワークが軽くなるでしょう。
事業の成否は、社会情勢など予測不能な外的要因にも大きく左右されるものです。1つの事業にリソースを集中するのは効率的ですが、リスクがあります。労力をかけても、副業で選択肢を増やしておくことをおすすめします。
利用できるものが多い
経営者なら成果を出しやすいのも、おすすめの理由の一つです。本業で得た資金や人脈など、副業で活かせるものがいくつもあります。特に有効なのが、経営者という肩書きです。起業や経営のノウハウを共有してほしいと考える人は大勢います。それらをコンテンツとして提供すれば、十分な収入が見込めるでしょう。
会社経営しながら副業にまで手を広げるのは大変に思えますが、経営者の肩書きや人脈をうまく活用すれば、効率的に稼ぐことができます。普通の会社員が副業するよりも、時間をかけずに安定した収入が得られる可能性が高いでしょう。
社長は潰しがきかない
もし廃業になってしまったとき、経営者は再就職がしにくいのもポイントです。従業員であれば、勤めていた会社の経営が悪化したときに転職という選択肢があります。しかし、元経営者は他人の指示に従って現場で働くスタイルから一旦遠ざかってしまったために、雇用する側からは敬遠される傾向にあります。
副業を手がけておけば、会社が廃業したときにはそちらに本腰を入れて収入を増やせばよいので、就職先が確保できない心配もありません。売上が増えれば、副業として始めたビジネスを法人化して経営者として再起をかけることも可能でしょう。
経営者が副業したら確定申告は必要?
収入が増えると気になるのは、確定申告です。確定申告は、個人事業主や控除を受ける会社員がやるものというイメージがありますが、経営者も一定の条件が揃えば自身の確定申告が必要になります。ここでは経営者が確定申告しなくてはならないケースを紹介します。
確定申告が必要なケース
まず経営者としての役員報酬が2,000万円を超えると、確定申告が必要です。役員報酬は給与所得なので本来は年末調整で対応できるのですが、給与所得も2,000万円を超えると確定申告の対象になります。他にも、同族経営で会社から役員報酬以外の支払いがある場合や、災害減免法で所得税の猶予や還付を受けた場合も、確定申告しなくてはなりません。
さらに経営者が副業を始めると、そのために確定申告が必要になるケースがあります。経営者であっても副収入が20万円以上、あるいは2か所以上から給与所得を受け取っている場合は、確定申告が必要です。副収入とは具体的にどのようなものを指すかは、次の項目で詳しく解説します。
副収入の例
経営者の副収入としては、主に以下の4つが考えられます。
- アルバイトなどの給与所得
- フリーランスとしての成果報酬
- 株式や不動産の投資の利益
- ネットショップ販売などの売上
時間に縛られるアルバイトは経営者には難しいかもしれませんが、働く時間や場所を自由に決められる仕事であれば、会社経営と並行して手がけることも可能でしょう。特に投資では潤沢な資金があることが有利に働きますし、ネットショップ運営なども経営者としてのスキルが活かせる副業です。
あまり収入に期待せず始めた副業でも、年間20万円の所得を超える可能性は十分にあります。副業で稼いだら、忘れずに確定申告しましょう。
所得税の確定申告|国税庁
経営者におすすめの副業5選
経営者は本業に自身のリソースの大部分を割かなくてはならないので、継続できる副業には限りがあります。ここでは経営者でも取り組める、以下の5つの副業を紹介します。
- サイト運営
- レンタルスペース運営
- オンライン講師
- 動画配信
- 投資家
それぞれの特徴やメリットを解説します。
サイト運営
ブログなどのサイトを運営し、アフィリエイトと呼ばれる成果報酬型の広告収入を得る方法もあります。サイト運営を成功させるポイントは、いかにユーザーにとって役立つ情報を発信できるかです。その点では経営者としてのノウハウが、通常の会社員にはない大きな強みとなります。同じような経営者や、これから起業を目指す人達をターゲットにして、一定のアクセスが見込めるでしょう。
さらに、サイト運営は時間に縛られない働き方も魅力です。空いた時間にコンテンツを書き貯めるようにすれば、忙しい経営者でも無理なく取り組めるでしょう。
レンタルスペース運営
自宅や店舗の空いている部屋を、レンタルスペースとして貸し出す方法もあります。資金にゆとりのある経営者なら、レンタルスペース用の物件を契約して不動産投資に近い形で運営するのもおすすめです。
レンタルスペースの魅力は、ニーズのある物件さえ見つければ、労力や時間をかけずとも稼げることです。現在はレンタルスペースを利用したい人とのやり取りを仲介してくれるサイトも数多くありますし、物件を用意したあとは清掃や備品補充の負担しかありません。さらにその作業も、忙しいときは外注が可能です。
現在は働き方が多様化していたり、気兼ねなく趣味や遊びに利用できるスペースを求める人が増えていたりするため、レンタルスペースは今後も一定のニーズが見込めます。稼働時間が他の副業と比較しても少なくて済むので、多忙な経営者におすすめの副業といえるでしょう。
オンライン講師
サイト運営と同じく、経営者としてのスキルシェアのニーズがあるのがオンライン講師です。現在ではZoomなどを利用して、講師も受講生もお互いに自宅にいながらレッスンを実施することが可能になりました。オンライン講師というと英会話などのイメージがありますが、起業や会社経営もビジネスパーソンに人気のジャンルとなっています。
オンライン講師で収入を得るためには、肩書きや経歴が重要です。現役の会社経営者としての肩書きや実績をアピールすれば受講生を獲得しやすくなるようになるでしょう。
動画配信
経営者としてのスキルシェアでもう一つおすすめなのが、動画配信の副業です。オンライン講師に依頼するほどではないけれど、動画やブログで手軽に経営や起業のノウハウを得たいという人達も大勢います。特に動画は、編集次第で自身の個性を出しやすいため、より多くのファンが獲得できるのが魅力です。
動画の編集は時間と労力がかかりますが、資金にゆとりがあれば、編集作業は外注も可能です。クラウドソーシングサイトなどには1件ごとの成果報酬で依頼できるプロの動画編集者も多く、動画に詳しくない人でも気軽に動画配信の副業を手がけられます。
投資家
余剰な資金がある場合、副業として不動産や株式、FXの投資を手がけておくのもよいでしょう。投資は労働を伴わずに収入を得られるため、経営者に限らず、通常の忙しい会社員にとっても人気です。とはいえ、まず十分な元手があることが稼ぐポイントなので、やはり大きな金額を動かせる経営者に有利といえます。
さらに、投資で安定して副収入を得るには世の中の動きにアンテナを張り巡らし、経済や企業経営について常に勉強しておかなくてはなりません。経営者であれば本業のために、ごく当たり前のこととして勉強しているので、投資はそれらを活かして収入を増やすチャンスといえるでしょう。
まとめ
副業全盛期ともいわれる現代、経営者といえども副業は他人事ではありません。むしろ月々安定した収入を確保できる、事業展開の幅が広がる、万が一廃業した場合も収入が途絶えないといった、経営者ならではのメリットがあるのです。
現在ではサイト運営やオンライン講師など、多忙な経営者であっても挑戦できる副業が多く存在します。経営者とは違う一人のフリーランスとして働くことで、学べることがあるかもしれません。無理なく続けられそうだと感じたら、思いきって挑戦してみるのがおすすめです。
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