インターネット環境の普及と働き方改革の推進によって、「在宅ワーク」を選ぶ人が増えています。
しかし、実際に在宅ワークを始めてみると、
「オフィス勤務時よりも作業効率が下がった」
「家族に煙たがられているかも」
「ONとOFFの切り替えが難しい」など、
在宅ワークならではの悩みや戸惑いが生まれてくるようです。
在宅ワークのデメリットを知って、改善できるところはないかチェックしてみましょう。
在宅ワークは意外とストレスだらけ…
「在宅ワーク」は通勤ラッシュがストレス、子育てや介護などで自宅を離れられない、一般的な勤務時間とは違う時間帯に仕事をしたい、プライベートを充実させたい、という方にとっては理想的な働き方に思えます。
しかし、私的な生活空間に仕事を持ち込もうとすると、無理が生じてストレスを感じることも……。自宅での仕事をスムーズに進めるには、ストレスの元凶をひとつひとつ解き明かすステップが必要でしょう。
在宅ワークのデメリット
私的空間と仕事環境のミスマッチには「作業環境」「IT環境」「自己管理」「対人関係」などの要素が関係します。11のデメリットを解説するので、自身に当てはまりそうな点はないか、どう備えておくか、検討してから在宅ワークを実践することをおすすめします。
デスクやチェア代がかかる
家庭にあるダイニングセットでパソコン作業をしようとしても、高さが合わず体に負担のかかる姿勢になるかもしれません。パソコンのほかプリンターなどの周辺機器も設置できるパソコンデスクや長時間の作業でも疲れにくいオフィスチェアが必要だと感じることもあるでしょう。
腰痛に悩まされやすい
長時間、パソコンに向かって座っていると腰痛に悩まされることがあります。座っている時には上半身の重さすべてが腰回りにかかり、立ち歩いたり重いものを持ったりした時よりも疲労が蓄積されやすいのです。
体に合った椅子を用意したり、定期的に立ち上がり軽い運動をしたりと、体のメンテナンスにも気を配りましょう。
運動不足になる
日頃からスポーツと無縁で、通勤での移動だけが運動になっていたという方は、運動不足に注意が必要です。また、オフィス勤務では、トイレ休憩や飲み物を用意するためにある程度の距離を立ち歩いたり、他部署との打ち合わせやランチに出掛けたりと、無意識に軽い運動ができていました。
在宅ワークではトイレやキッチンも近距離にあり、ランチを自宅ですませることも多くなるため、運動量が激減してしまうでしょう。
自分の責任が大きい
オフィス勤務であれば不測の事態にもチームであたり、責任も組織や会社全体で負うことが多いでしょう。たとえば、パソコンの不調ひとつとっても、会社勤務であればその場で詳しい人にみてもらったり、備品管理部門へ相談したりできます。しかし、自宅のパソコンの場合は自身で修復したり、専門店へパソコン修理を依頼したりしなければなりません。
備品管理やスケジュール管理など自分の責任が大きくなり、プレッシャーを感じることがあるでしょう。
残業の管理がゆるくなる
ITツールで勤怠管理をしていれば問題ありませんが、成果物を納品する場合は勤務開始・終了の時間があいまいになってしまうことがあります。
成果物の質にこだわるあまり深夜に作業を再開したり、休日にまで仕事をしたり。このような働き方が常態化すれば、いずれ疲労がたまって健康被害やメンタルヘルスにも影響が出てしまいます。
通信環境が不安定な場合もある
パソコンでの作業が主な場合、通信環境が作業効率を左右することがあります。必要なデータをやりとりするのに十分な回線速度が保てているか、定期的に速度測定や速度診断を行うとよいでしょう。
モチベーション維持が難しい
ひとりきりで黙々と作業をしていると、気分転換がしにくく、集中力の継続やモチベーションの維持が難しいと感じることがあります。オフィス勤務であれば、隣席する同僚とのちょっとした雑談や給湯室・喫煙室での会話がリフレッシュタイムとなっていました。
在宅ワーク仲間と時間を決めてチャットをしたり、外の空気を吸いに散歩をしたり、お気に入りの飲み物を用意したりと自分に合った工夫が必要です。
家族に理解されづらい
「普段家にいなかった人がずっと家にいて仕事をしている」「今まで一緒にのんびり過ごしていた人が仕事中だとそっけない」という状態は、家族にとっても生活を乱されストレスの要因になります。家族みんなに在宅ワークについて理解してもらえるよう努力が必要でしょう。
「〇時までは集中したいので話しかけないでほしい」
「〇時にはWeb会議があるのでテレビの音を小さくしてほしい」
「〇時には仕事が終わるので家事ができる」など、
1日ごとや1週間ごとの見通しを共有しておくと、お互いに気持ち良く過ごせるようになるでしょう。
隣近所の生活音が気になる
静かな環境で仕事をしたいと思っていても、隣近所の生活音や車・電車・工事などの騒音までもコントロールできるものではありません。
作業に集中できるように音楽を流したり、吸音・防音効果のあるデスクパーテーションを用意したりとより良い環境を作れるよう工夫しましょう。自宅外での作業が可能なら、コワーキングスペースやシェアオフィスを活用してもよいでしょう。
プライベートとの切り替えが難しい
自宅で仕事をしていると、少しだけ休憩をとるつもりが他のことに手を出してしまい、作業時間が圧迫されるということもあるでしょう。読みかけの本や趣味のもの、テレビや昼寝の誘惑に打ち勝つには、自己管理能力が問われます。
同僚とのコミュニケーションが取りづらい
同僚と同じ場所で働いていれば、仕事の手順についてわからないことを相談したり、雑談をしたりとコミュニケーションが自然に取れ、チームとして仕事にあたっているという実感も得られていました。
在宅ワークでは、普段のやりとりはITツールがメインになり、雑談がしにくくなります。チームメンバーの仕事状況も見えにくいので、孤独を感じることがあるでしょう。
在宅ワークの環境を上手く整えよう!
在宅ワークにはさまざまなデメリットがありストレスの要因ともなりますが、いずれも働き方をイメージして対策を講じておけば、ある程度緩和することができます。3つのポイントをご紹介するので、できるところから見直してみていきましょう。
時間を決めて仕事をする
生活の乱れやプライベートとのオンオフの難しさは、「時間設定が自由」という在宅ワークの特徴に由来しています。在宅ワークでもオフィス勤務と同じように、勤務時間や休憩時間を設定すると上手く回るようになるでしょう。
作業環境は妥協しない
間に合わせのテーブル、脆弱なインターネット回線、散らかったままの部屋……こういった環境では集中力が発揮できず、作業効率も下がってしまいます。
成果型報酬の在宅ワークでは、効率を上げることが収入を増やす有効な手だてです。快適なワークスペースを確保することは収入アップにもつながるので、設備投資を惜しまずに環境を整えておきましょう。
意外と換気が大事!
長時間集中して仕事をしていると「ぼーっとしてくる」「眠気が襲ってくる」「頭痛がおこりそう」ということがありませんか。これは疲労だけでなく、室内の二酸化炭素濃度が影響しているかもしれません。「空気がよどんでいる」と酸素が十分に取り込めず、脳機能が低下してしまうのです。
1時間に1回程度は空気の入れ替えを行い、新鮮な外気を深呼吸して、頭と気分をリフレッシュさせましょう。
まとめ
生活空間での仕事は、初めから仕事がしやすいように整えられたオフィスでの作業とさまざまな点で異なるでしょう。これまでにないストレスを感じることがありますが、在宅ワークの環境を整えることは働き手自身の責任です。
自分がどこに強くストレスを感じているか、改善できる点はないか定期的にチェックして、より良い仕事環境となるように工夫していきましょう。