リモートワーク(テレワーク)の普及によって自宅で仕事をする人が増えています。自由度が高く通勤時間も必要ないというメリットがある反面、自宅での仕事の仕方に悩む人も少なくありません。「集中力が続かない」「ONとOFFの切り替えが難しい」などの悩みは、最適なデスク環境を構築することで改善できるでしょう。
この記事では、リモートワークによくある悩みとその改善策、役立つアイテムを詳しく紹介します。
最高のデスク環境を整えて快適なリモートワークを! 最適アイテムとデスク環境の作り方
リモートワークとは?
リモートワークとは、オフィスに出社せず、自宅やコワーキングスペース、カフェなど自由な場所で業務を行う働き方です。国が推進する「働き方改革」の影響もあり、リモートワークを導入する企業も増えています。
インターネット環境とパソコンやスマートフォンさえあれば誰でも簡単に始められるため、個人の事情で外に働きに出られない人でも働きやすくなります。また、通勤時間がなくなることでワークライフバランスが実現でき、リモートワークによってより充実した生活を送れるようにもなるでしょう。
リモートワークは就業場所に決まりはない働き方ですが、業務契約を交わす際に依頼主から、セキュリティ保護のために就業場所を自宅と指定されるケースもあります。
リモートワークの課題
自宅を仕事場としてリモートワークする働き方は、勤務場所に出社する働き方にはないメリットが得られますが、在宅ならではの課題もあります。せっかく自宅で仕事をするなら、効率的に仕事を終えてプライベートの時間をしっかり確保したいですよね。
まずは、自宅で起こりやすいリモートワークの課題点を5つ解説します。解消すべき課題を知った上でしっかりと対策すれば、スムーズにリモートワークに臨めるようになりますよ。
・環境をつくる必要がある
リモートワークを始める際は、まず、「どこで仕事をするか」を考えます。自宅の一角をワークスペースとするなら、場所を確保するため必要に応じて家具を移動したり、オフィス製品を購入したりするでしょう。
いざリモートワークを始めようとして、「何が必要なのか分からない」という人もいるかもしれません。自宅の広さや家具の配置から、まずは自分自身に最適なデスク環境を検討しましょう。
・ONとOFFの切り替えが難しい
リモートワークの就業場所は一般的に自宅になるので、仕事とプライベートの境界線があいまいになりやすいという課題があります。オフィスに出社する働き方であれば、「8時から17時までは仕事、帰宅後はプライベートの時間」とはっきり区別ができます。
しかし、リモートワークの場合は契約上の定めがない限り、始業や終業、休憩時間が明確ではなく簡単に切り替えられないと感じる人も多いでしょう。真面目な人ほど、終業後に「気になることを思い出したから少しだけ仕事をしよう」と仕事を再開したり、「仕事が終わらないから」といって休憩や昼食を取らずに仕事を続けたりしてしまいがちです。
リモートワークは就業場所に縛られずに働けるため、育児や介護などの家庭の事情がある人でも仕事との両立がしやすいなどのメリットがあります。メリットを最大限活かすためにも、しっかりと気持ちの切り替えができるデスク環境を整えることが重要です。
・集中しにくい
リモートワークでは自宅が就業場所になりますが、自宅はプライベートの時間を過ごす場所でもあります。そのため、誘惑が多いのも課題点だといえるでしょう。
例えば、趣味の道具やゲーム、本の他、ブログ記事や動画配信サイトの視聴についつい時間を費やすこともあるでしょう。また、ペットを飼っている場合には、ペットを気にかけて仕事に集中できなくなるかもしれません。家族も在宅している場合には、家族から話かけられることもあるでしょう。
リモートワーク中は、自宅にいることでさまざまな要因から集中が途切れやすくなります。自分が集中しやすい環境を工夫すると、効率的に仕事を進められるでしょう。
・肩こり/腰痛になりやすい
リモートワークはインターネットを介して仕事をすることが多いため、デスクワークが主になります。長時間の座り姿勢は姿勢が固定されてしまい、肩こりや腰痛の原因となるため注意が必要です。リモートワークは通勤のための外出もなくなり、運動不足から血行も悪くなってしまいがちです。
リモートワークによる肩こりや腰痛に悩むリモートワーカーは少なくありません。こうした症状も、デスク環境を整えることで予防できます。
・目が疲れやすい
オンライン上で仕事が完結するリモートワークでは、パソコンから目を離す機会が多くありません。常にディスプレイを見つめることになるため、ブルーライトや画面の明るさが刺激となって眼精疲労になりやすいのも難点。眼精疲労は悪化すると、頭痛や吐き気、めまいやふらつきの原因にもなります。
目を休める時間を設けることが重要ですが、作業中に受ける目へのダメージを軽減することも大切です。眼精疲労になる前に、デスク環境を整えて予防しましょう。
課題解決のための4つのアイデア
リモートワーク特有の課題は、デスク環境を整えることで改善が期待できるものが多くあります。課題解決につながる4つのアイデアを紹介します。
・正しい姿勢を保つ工夫をする
長時間のデスクワークは猫背の原因となり、頭だけが前に出ている姿勢は首や肩の筋肉に負担をかけます。姿勢の悪さから肩こりや腰痛の症状が起こりやすくなるため、姿勢を改善する工夫が必要です。
例えば、パソコンのキーボードが打ちやすい高さにあるか、ディスプレイは見やすい位置にあるかなどに注意して、パソコン機器を設置すると姿勢改善ができるでしょう。また、姿勢を矯正してくれる椅子やクッションなども、正しい姿勢の維持に役立つのでおすすめです。
・デスク周りはスッキリさせる
リモートワーク中の集中力を保つためには、自分自身の意識が仕事以外のことにそらされないように工夫しましょう。仕事関連の情報に集中できるように目に入る情報を少なくし、プライベートなアイテムは極力収納したり見えにくい場所に移動したり、目隠しなどをしておくことをおすすめします。
ワークスペースには余計なものを置かず、デスク周りの配線もまとめてスッキリさせておくと、見た目もきれいで集中しやすいデスク環境が整うでしょう。
・自然光を取り入れる/部屋の明るさを調節する
ディスプレイを見つめる時間が長いリモートワークでは、画面や部屋の明るさが適切でなければ目にかかる負担が大きくなります。目の疲れは集中力の低下や頭痛・肩こりなどにもつながるため、ワークスペースの明るさ調節は意識して行いましょう。
また、自然光が入る位置で仕事をすると、ふとしたときに外を見て目と気持ちをリフレッシュさせることができますよ。
・環境を変えて仕事をする
リモートワーク中に「集中力が切れてきたな」と感じたら、立って仕事をするのもおすすめです。立ち上がることで血流が良くなる上に、気分転換にもなるので、集中力の回復が期待できます。
また、屈伸や伸びなど軽いストレッチをしてから立姿勢に切り替えると、一日中座りっぱなしになりがちなリモートワーカーの運動不足解消にもつながります。
疲れにくい理想の姿勢とは
デスクワークが主なリモートワークでは、集中力を維持するためにも疲れにくい姿勢を保つことが重要です。理想的な「正しい姿勢」を理解しておきましょう。一般社団法人日本オフィス家具協会によると、正しい姿勢は以下のポイントを押さえると良いとされています。
・正しい姿勢チェックリスト
□座面の奥まで深く腰掛けているか?
□骨盤上部がしっかり背もたれについているか?
□深く腰掛けたとき、かかとは床についているか?
□太ももの上部を水平にして、ひざ下は床と直角になっているか?
疲れにくい姿勢を保つポイントを押さえて、デスク環境を整えることが大切です。ちなみに同協会は、デスクワークチェア調節の目安を、「座面高さ=身長×1/4 デスク高さ=座面高+差尺(身長×1/6)」と案内しています。これらの目安も参考にして、リモートワーク用の椅子や机を使う人の体格に合わせてそろえると、正しい姿勢を保ちやすくなるでしょう。
例として、160cmの女性がリモートワーク用のデスク環境を整えるとき、チェアの座面高さは「40cm(160×1/4)」、デスク高さは「約66.7cm(座面高40cm+差尺26.7cm」が推奨されます。差尺は「デスク高さ-座面高」で表され、「身長×1/6」で求められます。
リモートワークにおすすめのアイテム
リモートワークでの快適なデスク環境を実現する、8つのおすすめアイテムを紹介します。一度にすべてそろえる必要はありませんが、「集中できない」「腰が痛くなる」など、悩みに合わせて購入を検討すると快適なデスク環境に近づけられるでしょう。
・PCスタンド/ラップトップスタンド
「PCスタンド」「ラップトップスタンド」は、パソコンの高さや傾きを調節でき、姿勢の矯正に役立つアイテムです。ノートパソコンを使う人は視線が下がり猫背になりやすいため、パソコン自体の高さを調節すると猫背が解消できます。「PCスタンド」には、高さ調節が可能なものやケーブルをまとめやすくするへこみがつくられているものもあり、より集中しやすく疲れにくい環境づくりに役立ちます。
金属製のスタンドはもちろん、黒色や白色、木目調などデザイン性の高いスタンドもあるので、ワークスペースのインテリアに合わせて選べますよ。
・外付けモニター
作業効率を高めてくれるのが「外付けモニター」です。パソコンに接続して画面を2つに分けるデュアルディスプレイの設定ができるので、画面を見比べながら作業したいときや画面を広く使いたいときに便利です。部屋の広さや作業内容に合わせて、最適なサイズの外付けモニターを選びましょう。
複数のソフトやウィンドウを開いて作業する場合、シングルディスプレイでは切り替え動作が手間となり、集中が途切れてしまう可能性があります。ソフトの立ち上げ時間などで思考が途切れることもなくなり、集中しやすい環境をつくれるおすすめのアイテムです。
・モニターアーム
「モニターアーム」は、外付けモニターの高さ調節のために使用します。パソコンと外付けモニターは製品自体の高さが異なるため、ただデスクに置いただけでは目線の高さを合わせられません。「モニターアーム」を使って外付けモニターの高さをパソコンと合わせると、目線の高さに差がなくなり、姿勢改善や目の負担軽減につながるので、疲れにくくなります。
・ワイヤレスデバイス
「ワイヤレスデバイス」とは、Bluetoothで接続できるマウスやキーボードのことです。デバイスとパソコンと接続するためのケーブルが不要なので、配線がごちゃごちゃとせず、デスク周りがスッキリします。
パソコンのUSBポートの数には限りがあるため、USBケーブルで接続するデバイスを使う場合はUSBポートを追加する必要に迫られるときもあります。しかし、「ワイヤレスデバイス」なら、ポート数を気にせず気軽に接続できる点が便利です。「ワイヤレスデバイス」には数字などテンキーのみの製品やショートカットキーに特化したキーボードもあります。必要に応じて追加して、作業の効率化を図りましょう。
・スタンディングデスク
デスクワーク中に座り姿勢を続けていると体が疲れやすく、肩もこりやすくなります。また、ずっと同じ姿勢でいることがストレスにもなりえるため、「スタンディングデスク」を導入して姿勢を変えられる工夫をしましょう。
「スタンディングデスク」は名前の通り、立った状態で作業できるデスクです。姿勢が変わることで気分をリフレッシュできる上、足元が動かしやすいので、凝り固まった体をほぐせます。高さ調節ができる昇降式スタンディングデスクもあるので、自身の身長や住宅環境に合わせて選択しましょう。
・高機能チェア(椅子)
人の体は座り続けていると、腰や背中に負担がかかります。長時間のデスクワークでも疲れにくいように腰や背中を支えてくれる「高機能チェア」を用意するとよいでしょう。
特に、デスクワークには後傾姿勢を保てるチェアがおすすめです。なぜなら、人は何か書き物をするときは垂直~前傾の姿勢になりますが、ディスプレイを見るときやキーボードで文字を打ち込むときは後傾姿勢を保った方が疲れにくくなるためです。
ゲームをする人用のゲーミングチェアは、長時間の座り姿勢を考慮してつくられているのでリモートワークにも適しています。さらに、オールシーズン使用することも考慮して、背中部分がメッシュ素材のチェアを選ぶとよいでしょう。メッシュ素材は通気性が良く蒸れにくいため、衛生的にもおすすめです。
座面用のクッションや背あてクッションなども活用しながら、正しい姿勢を長時間維持できるようにアイテムを選びましょう。
・デスクライト
「デスクライト」は必ずしも必要ではありませんが、ワークスペースが暗かったり自然光が入らなかったりする場合に導入をおすすめします。スタンドライトやクリップ式のライトなど多種多様なライトがあるので、デスク環境に合わせてサイズや種類を選ぶとよいでしょう。
リモートワークではオンラインミーティングを行う場合があり、顔を映したときに画面が暗いと表情が伝わりにくくなってしまいます。画面の明るさを保つには、デスクライトやリングライトが活躍するでしょう。
また、人は白色光のもとでより集中力を保ちやすく、オレンジがかった電球色などのもとではリラックスしやすくなるので、ワークスペースの照明には白い光のライトを選びましょう。ワークスペースとリビングを時間帯によって使い分けたいというような場合には、調光・調色機能つきのライトがおすすです。
・ 室内用テント
作業時間帯に家族がいるため集中できない人におすすめのアイテムが「室内用テント」です。デスクごと自分自身をおおえるサイズのテントを張ると、余計なものが目に入りません。家族も仕事中だと理解しやすくなるため、必要以上に話しかけられることがなくなり、より集中しやすい環境ができます。
ワークスペースとプライベートの空間を明確に区切ることができ、ONとOFFの切り替えも容易になるでしょう。
部屋に合わせたレイアウト
リモートワークがはかどるアイテムにはさまざまなものがありますが、部屋の広さによっても適したアイテムは変わります。限られたスペースで最適なデスク環境を整えたい場合や、部屋を広く見せたい場合のレイアウトを紹介しましょう。
・ロースタイル
机の高さを低くする「ロースタイル」は、部屋を広く見せたい人におすすめのレイアウトです。オフィス家具を低くすると部屋上部に空間ができるため、その分部屋全体が広く見えるのです。高さがない家具の方が、通路幅やワークスペースを視覚的に広く感じさせてくれるので、オフィス家具が増えても開放的な雰囲気が実現できます。また、ロースタイルは和室との相性も良く、畳の上や和素材のインテリアにも違和感なくなじむでしょう。
ロースタイルの場合、椅子は不要に感じるかもしれませんが、体に疲れをためないよう背もたれや肘置きのある座椅子を用意しましょう。また、机も座椅子の高さに合わせ低めにする必要があります。ただ、机の天板が低すぎると足元が窮屈になり、姿勢も悪くなってしまうので、昇降式のローテーブルなどで調節するとよいでしょう。
・縦型省スペーススタイル
自宅の広さが限られていて、十分なワークスペースが確保しにくい場合は、空間を縦に使うことで省スペース化を図りましょう。収納量や収納したいものに合わせて高さを変えられるラックやラックつきのデスクが便利です。ラックの上段にプリンターやオフィス用品をまとめるなど、デッドスペースを有効活用するとコンパクトなワークスペースが完成します。
縦型のコンパクトな空間に仕事の資料や機材を収納しておくと、必要なものを取りに行くために席を立つ回数が減り、その分集中力を途切れさせずに作業することができます。壁に有孔ボードを設置して、手の届く範囲に壁掛け収納を充実させるのもおすすめです。
・L字スタイル
リビングや寝室の角にある程度スペースを確保できるなら、L字スタイルがおすすめです。左側のサイドテーブルを飲み物や携帯電話などの一時置き用にし、正面にパソコンとキーボード、右側に外付けモニターを設置するレイアウトが使いやすいでしょう。L字型だと横一列の配置よりも首を動かす距離が少なく済むため、疲れにくくなります。
L字スタイルは部屋の角にデスクを設置する場合が多いため、窓際か壁際かどちらかになります。窓に背を向ける場合、自然光は自身の背中に遮られて手元が暗くなりやすいので、卓上ライトを点けるとよいでしょう。
まとめ
リモートワークはメリットが数多くある反面、「集中しにくい」「姿勢が悪くなりやすい」「誘惑が多くつい意識がそれてしまう」といった課題もあります。リモートワーク特有のこうした課題は、机や椅子などのデスク環境を変えることで解消できるでしょう。
リモートワークを効率的に進められるアイテムも数多く存在します。ワークスペースの環境や自分自身の好みに合わせて、より集中しやすい環境づくりをしていきましょう。