副業は事業所得?雑所得との区別方法を解説

本業以外に副業で得た所得が年間20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。所得は、総収入から経費を引いた金額で算出します。所得にはいくつかの分類があり、会社員が副業で収入を得た場合、多くは雑所得に分類されます。しかしケースによっては事業所得に分類できる可能性もあるのです。

では2つの所得にはどのような違いがあるのでしょうか。また何を基準に所得の分類を判断すればよいのでしょうか。今回は事業所得と雑所得について詳しく解説します。確定申告が初めての人は、ぜひ参考にしてください。

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副業による「事業所得」と「雑所得」の違い

副業による「事業所得」と「雑所得」の違い

所得税法で所得は以下の10種類に分類されています。

  • 給与所得
  • 事業所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 譲渡所得
  • 山林所得
  • 退職所得
  • 一時所得
  • 雑所得

副業で得た収入の多くは雑所得に分類されますが、ケースによっては事業所得と認められることもあります。では2つの違いはどこにあるのでしょうか。ここでは事業所得と雑所得の違いを解説します。

事業所得

事業所得とは、営んでいる事業から得た所得のことです。国税庁のホームページを確認すると「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」と記載されています。

つまり事業として成立しているものから得た収入は、事業所得として扱われる可能性が高いでしょう。「安定して継続的に収益が得られている」「職業として認知されている」「多くの時間を費やしている」などが判断ポイントとなります。

雑所得

雑所得は、どの所得の分類にも該当しない所得を指します。本業で給与所得を得ている人が副業で収入を得た場合、その所得は基本的に雑所得に該当します。例えば本業以外に手作りのアクセサリーを販売して得た収入、Webライティングで得た収入は雑所得です。

ただし取り組んでいる副業の規模や収入が大きくなった場合は、雑所得ではなく事業所得で申告できる可能性があります。事業所得として申告できるようになると多くのメリットがある青色申告を選択できるので、本格的に副業で稼ぎたい人は事業所得として認められるこを目指してみてはいかがでしょうか。メリットに関しては次章で詳しく解説します。

副業を「事業所得」で申告するメリット

副業を「事業所得」で申告するメリット

副業を事業所得で申告する場合「青色申告」を選択できます。雑所得の場合は、青色申告を選択できません。白色申告のみとなります。青色申告を選択する主なメリットは以下の3つです。

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者給与
  • 赤字の繰り越し

それぞれ具体的に解説します。

青色申告特別控除

青色申告を選択すると、最大で65万円の特別控除を受けられます。青色申告を選択する一番大きなメリットといえるでしょう。控除できればそれだけ所得額を抑えられるので、節税できます。

青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記によって記帳された帳簿と、記帳に基づいて作成した損益計算書および貸借対照表の提出が必要です。そのため簿記の知識が必須といえるでしょう。

青色事業専従者給与

白色申告の場合、親族や配偶者に支払った給与を全額経費にはできません。しかし青色申告では、親族や配偶者に支払った給与を全額経費として計上可能です。これを青色事業専従者給与といいます。青色事業専従者給与として認められるのは、以下の要件を満たす必要があります。

1.青色事業専従者に支払われた給与であること

青色事業専従者とは、以下の要件を満たした人です。

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族である
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である
  • その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事している

2.青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出していること

3.届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。

4.青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。

・過大とされた部分は、経費と認められないので注意しましょう。

白色申告の場合は、経費にできる金額に上限がありますが、青色事業専従者給与の場合は、要件を満たしていれば上限はありません。全額経費にすることで、節税に大きな効果が期待できるでしょう。

赤字の繰り越し

赤字を繰り越しできるのも、青色申告するメリットです。事業で赤字を出した場合、その損失額を最長3年繰り越すことができます。例えば事業開始1年目が、100万円の赤字だったとしましょう。

次に2年目で200万円の黒字となった場合、1年目の赤字分100万円を指し引いた金額を2年目の所得として計上できるのです。つまり2年目の所得は200万円ではなく、100万円に抑えられることになります。

副業を「事業所得」で申告するデメリット

副業を「事業所得」で申告するデメリット

事業所得として認められ、青色申告できることは大きなメリットがありますが、一方でデメリットといえる点もいくつかあります。

  • 手続きに時間がかかる
  • 本業にバレる可能性がある
  • 知識が必要なこともある

デメリットを理解し、対策を立てておきましょう。それぞれ詳しく解説します。

手続きに時間がかかる

青色申告を選択すれば大きな節税効果が期待できますが、手続きに手間がかかります。まず青色申告するためには、以下の書類を税務署に提出しなければなりません。

  • 開業届
  • 青色申告承認申請書

開業届は事業を開始してから1か月以内、青色申告承認申請書は開業届提出から2か月以内、もしくは青色申告したい年の3月15日までに提出しなければなりません。提出しないと白色申告となるので、期限内に提出しましょう。

本業にバレる可能性がある

副業を事業所得として申告した場合、本業側にバレるリスクが高くなることも留意しておかなければなりません。開業届を出して個人事業主として副業している場合、確定申告する義務があります。

確定申告すると、所得額に応じた所得税と住民税が計算され、納めるべき住民税が記載された特別徴収税額決定通知書が本業の企業に送付されます。もし本業の収入額に比べて明らかに住民税が高い場合は「他に収入があるのでは?」と疑われてしまうのです。

これを避けるためには申告時に、住民税に関する欄を「自分で納付」を選択する必要があります。「自分で納付」を選択することにより、納付書は企業ではなく自宅に届くので、企業にバレるリスクを回避できるでしょう。

とはいえ、申告時以外でもバレるリスクは存在します。副業を検討する際は、本業側の規定を確認してください。副業そのものが禁止されている場合は、控えたほうがよいでしょう。

知識が必要なこともある

先ほども触れましたが、青色申告するためには複式簿記で記帳する必要があります。白色申告の場合は簡単な帳簿の記載が認められていますが、青色申告ではそうはいきません。例えば事業に必要なノートを購入した場合、それぞれの記帳は以下となります。

【白色申告の場合】

日付

勘定科目

収入

支出

摘要

2022年4月1日

消耗品費

 

1,000

ノート代

 

【青色申告の場合】

日付

借方

貸方

摘要

2022年4月1日

消耗品費 1,000

現金 1,000

ノート代

 

借方とは資産や費用の発生を計上するものです。一方で貸方は負債や純資産の増加や収益を計上します。貸方と借方は一致していなければなりません。

青色申告の場合は、一つの取引を複数の科目で記載する複式簿記の知識が求められます。元々簿記をやっている人にとってはそこまで難しくありませんが、まったく知らない人からすると少しハードルが高いといえるでしょう。

しかし最近では、簡単な質問に答えるだけで自動的に仕訳してくれる会計ソフトも多くあります。そのようなツールを上手く活用することで、日々の会計業務の負担を減らせるのでおすすめです。

副業収入が「事業所得」か「雑所得」か判断するには

副業で得た収入は基本的に事業所得ではなく「雑所得」に分類されます。

  • フリマアプリで不用品を販売して収益を得た
  • アフィリエイトで収益を得た
  • ポイントサイトで収益を得た
  • ハンドメイド作品を販売して収益を得た
  • 週末だけプログラマーとして活動して収益を得た

これらの場合は、すべて雑所得です。ただし安定的に一定の収入を得ている、多くの時間を副業に使っている場合は事業所得として認められるケースもあります。事業所得にできれば、多くのメリットがある青色申告を選択できるので、税務署から事業所得として認められるような材料を日頃から揃えておくとよいでしょう。

まとめ

副業で得た所得は、基本的に雑所得に分類されます。しかし本格的に事業として活動して結果を出せば、事業所得として認められるケースもあります。事業所得として認められれば、多くのメリットがある青色申告が選択可能です。

ただし青色申告は、白色申告に比べると手続きに手間がかかったり、簿記の知識が必要だったりするので、ハードルは高いかもしれません。本格的に副業で稼ぎたいと考えている場合にはおすすめです。継続的に収益を得られるようになったら、事業所得として申告することを検討してみてはいかがでしょうか。

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