かつて、システムはパッケージを購入してパソコンにインストールする「オンプレミス型」が主流でした。
しかし現在では自分のPCにインストールすることなくインターネットを介してシステムを利用できる「クラウド型」が台頭しており、ビジネス用ツールでもクラウドサービスの製品が増えています。そんな背景もありクラウドサービスを開発・構築するクラウドエンジニアのニーズが高まっているのです。
今回はクラウドエンジニアの仕事内容や必要なスキル・資格について解説します。
クラウドエンジニアってどんな仕事?おススメの資格もご紹介
クラウドエンジニアとは
クラウドエンジニアとは、クラウド上でシステムを開発・構築・運用する技術者を指します。
従来はサーバーやネットワークを自社内で設置してシステムを構築する方法が一般的でした。
しかしインターネットを介してサービスを利用するクラウドコンピューティングが登場し、システムをクラウド化する企業が増えてきているのです。それに伴って、システムをクラウド上に構築して運用する仕事を担うクラウドエンジニアのニーズが高まっています。
システムを構築・運用できるクラウドサービスは、自社内で構築するプライベートクラウドと不特定多数のユーザーで共有して使用するパブリッククラウドがあります。主要なパブリッククラウドは、以下の4サービスです。
・Amazon社が提供しているAWS(Amazon Web Service)
・Google社が提供しているGCP(Google Cloud Platform)
・Microsoft社が提供しているMicrosoft Azure
・アリババ社が提供しているAlibaba Cloud
つまりクラウドエンジニアはシステム構築の知識やスキルだけでなく、クラウドについてのスキルも身につけなければいけないのです。
クラウドエンジニアの仕事内容
インフラ設計
システムの基盤となるインフラを設計することは、クラウドエンジニアの仕事の一つです。
プライベートクラウドにするのかパブリッククラウドを使うのかを決め、プライベートクラウドにするのであればサーバーやネットワークといったインフラを設計します。パブリッククラウドにするのであれば、システムの要件とマッチしたクラウドサービスを選定します。
クラウド構築
クラウドにシステムを構築することも重要な仕事です。
クラウドシステムを構築する具体的な仕事内容は、プログラミング、ソフトウェアの導入、データベースの開発など多岐に渡ります。クライアントのニーズに合わせたクラウドシステムを構築するため、さまざまな知識やスキルが必要です。
システムの運用・保守
クラウドエンジニアはシステムを構築して終わりではなく、クライアントが安定して利用できるようシステムの運用や保守も行います。
パブリッククラウドを利用している場合、サーバーやネットワークの管理はクラウドサービス提供会社で行うため作業は不要です。クラウドエンジニアはシステムのアップデートや監視などが主な仕事になるでしょう。
一方のプライベートクラウドの場合は、サーバーや回線のメンテナンスやセキュリティチェックなどの作業も追加されます。
トラブル対策
回線やシステムなどのトラブルに迅速に対応することも求められます。
トラブルシューティングを行い不具合の原因を追究し、正常に作動するよう修正を行います。
ちょっとしたトラブルでもシステム障害が起きると業務が著しく遅れることもあるので、スピーディに対応する必要があるでしょう。
クラウドエンジニアに必要なスキル
Infrastructure as Code
クラウドエンジニアにとってInfrastructure as Codeのスキルがあると、インフラ構築の際に役立ちます。
従来のインフラ構築は設計書に従って手作業で入力していくため、多大なリソースがかかるだけでなくミスも生まれやすい環境でした。
しかしInfrastructure as Codeはプログラム化されたインフラ設定のコードを実行すると、自動的にインフラが構築されます。
DevOps、CI/CDの知識
クラウドエンジニアとして仕事をするうえで、DevOpsと関連するCI/CDについての知識も得ておくと良いでしょう。
DevOpsとは開発(Development)と運用(Operations)をかけ合わせた造語で、開発担当者と運用担当者が連携・協力してシステムを開発・運用する手法のことです。
そしてDevOpsを円滑に進めるためにCI/CDの知識も必要です。CI/CDとは Continuous Integration/Continuous Deliveryの略で、日本語訳をすると気継続的インテグレーション/継続的デリバリーと言います。
CI/CDを導入すると、バグの早期発見や変更のリリースなどを自動で行い、作業の効率化や品質の向上が実現します。
変化が激しいIT業界だからこそ、このような最新の手法やツールを理解しておきましょう。
コミュニケーション能力
クラウドエンジニアと聞くと一人で黙々と作業をしている様子をイメージしますが、実はコミュニケーション能力が必要です。
開発メンバー、社内の他部署、クライアントなど複数の人とコミュニケーションを取る場面があります。
コミュニケーション能力と一言でいっても、ヒアリング能力や交渉力、理解力や提案力などさまざまなスキルが求められるでしょう。
タスク管理能力
クラウドエンジニアは一つひとつのタスクを地道に作業していき、完成までたどり着きます。一つでもタスクが抜け漏れてしまえば成果物ができあがらないため、タスク管理能力はクラウドエンジニアにとって欠かせないスキルです。
途中で思わぬトラブルやエラーが発生することもあり、柔軟にタスクに取り組むことも必要です。
スケジュール管理能力
クラウドエンジニアは、納期までにシステムを完成させなければいけません。そのためスケジュールの管理には最新の注意を払う必要があるでしょう。
大きなプロジェクトでは、自分以外の開発メンバーのスケジュールも管理し、納期までに完成させるよう進める必要があります。
クラウドエンジニアになるためのおススメ資格
AWS認定ソリューションアーキテクト
AWS認定ソリューションアーキテクトとは、Amazon社が提供しているクラウドサービス「AWS」のスキルの証明に役立つ資格です。
AWSにおける実務経験1年以上の人を対象としています。AWSを使ったアプリケーションの構築やデプロイ、設計原則に従ったソリューション定義などのスキルがあることを証明できるため、クライアントへのアピールに効果的です。
Google Cloud認定資格
Google社が提供しているGoogle Cloudを活用したスキルの習得を証明できる資格が、Google Cloud認定資格です。英語訳ではGoogle Cloud Certified(GCP)と言います。
Google Cloud認定資格には、基礎スキルの証明となるアソシエイト認定資格と、高度なスキルの証明となるプロフェッショナル認定資格の2種類があります。アソシエイトはクラウドエンジニア未経験者や初心者におすすめの資格で、プロフェッショナルは業界経験があり開発知識のある人のための資格です。
Microsoft Azure認定試験
Microsoft Azure認定試験とは、マイクロソフト社が提供しているMicrosoft Azureについての知識やスキルを証明する資格試験です。
試験の種類は複数あり、難易度や求められる知識によってFundamentals、Architect Expert、Administrator Associateなどに分けられています。
初心者向けの資格から実務経験が必要な資格まであるので、自身のレベルに応じて受験しましょう。
Alibaba Cloud認定試験
アリババ社が提供しているAlibaba Cloudに関する技術的知識を証明できるのが、Alibaba Cloud認定試験です。
難易度順にACA(Alibaba Cloud Associates)、ACP(Alibaba Cloud Professional)、ACE(Alibaba Cloud Expert)の3つのコースがあります。ただしACA とACPは日本語にも対応していますが、ACEのみ英語もしくは中国語しか対応していないので注意しましょう。
まとめ
今後ますますニーズの高まりが予想されるクラウドエンジニア。プログラミングやソフトウェアに関するスキルだけでなく、クラウドサービスについての知識も求められる職種です。
最新技術が続々と登場するIT業界なので、クラウドエンジニアは常に学び続ける姿勢も求められるでしょう。だからこそ、新しいことを取り入れるのが好きな人、IT知識に貪欲な人にとっては天職になりえます。
クラウドエンジニアという仕事を理解し、新しい自分のキャリアとして検討してみてはいかがでしょうか。