働き方改革の一環として、2018年1月から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の規定が削除されました。このため副業に興味を持つ人が増え、認める企業も徐々に増えつつあります。
今回は副業に関するニュースをピックアップし、副業を始める人が増えた理由、副業を認める企業が増えた理由をまとめました。具体的な始め方や注意点も併せて紹介するので、副業を検討している人は、ぜひ最後までご覧ください。
副業に関する最近のニュース
まずは副業に関する最近のニュースを見ていきましょう。今後も副業を始める人は増えていくと考えられますが、気を付けないと予期せぬトラブルに発展する可能性もあります。しっかりと副業に関するリテラシーを高めていく必要があるでしょう。
成年年齢引き下げにより10代で副業する人に注意喚起
成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられたニュースは、記憶に新しいですよね。それに伴い、親の同意がなくてもサービスの契約が可能です。
このため、まだ知識が浅い10代を狙った詐欺も増えています。国民生活センターは副業や契約トラブルに巻き込まれないように注意喚起しました。
アプリやインターネットを活用して手軽にできる副業は増えており、10代でも稼げるチャンスは増えたものの、トラブルに巻き込まれないよう注意しなければならないでしょう。
20代の9割が副業を希望している
株式会社学情の調査によると、副業が企業から認められたら挑戦したいと回答した20代が9割に上ることが判明しました。
副業したいと回答した理由には
「ボーナスが支給されないので収入を増やしたい」
「将来のために収入を得る手段を複数持ちたい」
「転職前に副業で仕事内容や相性を確かめたい」
などが挙げられています。副業希望が9割を超えているのは、従来では考えられなかった結果ではないでしょうか。
週休3日制企業の登場
これまでは週休2日制が当たり前とされていた社会でしたが、現在では週休3日制を導入する企業もあります。週休3日制導入の主な目的は、パフォーマンスの向上とプライベートの充実。
これにより紆余曲折しながらも従来の業務体制を見直し、優先度の高い仕事をより効率的に進められる仕組みを進められるようになったそうです。
コロナ禍で働き方を考える人が増加
2020年から多くの人を悩ませた新型コロナウイルス。これをきっかけに今後の働き方を考える人も増えています。転職サービスを提供するワークポートによると、約7割がコロナ以前に比べて自身のキャリアを考えるようになったと回答したことがわかりました。またキャリアを積む方法として、副業を選択した人が約4割となっていて、関心が高まっていることもわかります。
地方でリモートワークによる副業を検討する人が増加
コロナ禍により、リモートワークが増加しました。リモートワークであれば、通勤の必要がないので、仕事によって住む場所が制限されることもありません。つまり地方に移住して、リモートワークで都心の仕事を請け負うことも可能です。
どこに住んでいても、チャンスのある時代となりました。本業のみならず、副業も場所に制限されず稼げるものも多いので、地方でもリモートを活用して副業にチャレンジする人が増えています。
副業を認める企業の増加
副業が広まった大きな理由の一つは、働き方改革による「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の規定削除ではないでしょうか。これにより、副業を認める企業も少しずつですが増加しています。
まだすべてとはいえませんが、今後も増えていく動きが加速していくのではないでしょうか。企業がなぜ、副業を認めるようになったかについては後述します。
副業を始める人が増えた理由
副業に興味を持つ人は、どのような理由をもっているのでしょうか。ここでは副業を始める人の主な理由を4つ解説します。
- 収入を増やしたい
- スキルアップしたい・仕事にやりがいを感じたい
- 転職や起業の準備ができる
- 在宅ワークになり使える時間が増えた
それぞれ解説します。
収入を増やしたい
副業を始める多くの人は、収入アップを目的としています。現代の経済に関するニュースは残念ながら明るいものばかりではありません。給与水準は上がらず、負担だけが増えることから、他で収入を増やしたいと考える人が増えています。
人生100年時代の到来や終身雇用制の崩壊から、今のうちに収入を増やしておきたいと考えるのは当然のことといえるのではないでしょうか。
スキルアップしたい・仕事にやりがいを感じたい
お小遣い稼ぎだけを目的としている人だけではありません。スキルアップやキャリアアップのために挑戦する人も増えています。また「本業では自分の得意分野が活かせないけれど、副業なら収入を気にせず好きなことに挑戦できる」ということから、やりがいや楽しさを感じている人も増えているようです。
転職や起業の準備ができる
リスクなく転職や起業準備ができるのも、副業のメリットといえるでしょう。いきなり会社を辞めて独立や起業をするのは、大きなリスクが伴います。
しかし本業を辞めずに、副業から始めることによって、収入の心配も必要ありません。実際に自分の考えたビジネスが成功するかどうか確かめることもできます。転職も仕事の相性や内容を見極めてからできるので「こんなはずではなかった」というミスマッチを減らせるでしょう。
在宅ワークになり使える時間が増えた
在宅ワークであれば、通勤時間は必要ありません。例えばこれまで往復2時間を通勤時間に費やしていた人は、単純にプライベートな時間が2時間増えたことになります。時間に余裕ができたことから、有効活用できないかと考える人も増えました。
例えば1か月に20日出勤していたとすれば、40時間空き時間が増えたことになります。1か月に40時間自由な時間があると考えると、いろいろとやりたいことが思い浮かぶのではないでしょうか。副業のなかにはスキマ時間の数十分を活用してできるものも多くあります。うまく時間を使えれば効率的に稼げるでしょう。
副業を認める企業が増えている理由
従業員が副業することは、リスクだと考える企業もまだ多いでしょう。しかしリスクに対する対処をしっかりとしたうえで副業を認めれば、企業側にとっても多くのメリットがあります。すでに副業を認めている企業の、主な許可理由は次の3つです。
- 優秀な人材の流出防止になる
- 新たな事業拡大のチャンスになる
- 政府が副業解禁を推奨している
それぞれ具体的に見ていきましょう。
従業員のスキルアップにつながる
従業員にとって副業することは、収入獲得以外にも新たな知識や経験を得られるメリットがあります。これは企業側からしてもメリットとなるでしょう。新しい知識や経験を得ることで、従業員の質が高まるからです。
優秀な人材の流出防止になる
本業に不満があると、従業員は不満を改善するために離職してしまう可能性が高くなります。また自分の力が発揮できずに、転職を考える人も多くいるでしょう。つまり向上心が高い従業員ほど「離職」という行動を起こしてしまいます。
しかし副業を認めれば、副業を通して自分の力を発揮できるので、転職する理由を減らせます。結果的に定着率が高くなり、優秀な人材の流出を防止できるでしょう。
新たな事業拡大のチャンスになる
事業拡大のチャンスとなることもメリットの一つです。副業を通して新たな人脈を獲得したり、アイディアが生まれたりすれば、企業にとって大きな利益となります。新たなアイディアを企業に持ち帰ってもらうことで、新サービス創出などのイノベーションが期待できるでしょう。
政府が副業解禁を推奨している
働き方改革により、政府が副業や兼業に関するガイドラインを発表しています。これにより副業解禁することのメリットを知ったことで、副業を認める企業が増えてきました。認めなければならないわけではありませんが、今後も認める企業は増えていくのではないでしょうか。
副業を始めるためのステップ
副業は気軽に始められるものも多くあります。しかし無計画に始めてしまうとトラブルに巻き込まれたり、挫折する原因になるでしょう。ここでは副業を始めるためのステップを次の4つにわけて解説します。
- 本業が副業を許可しているか確認する
- 副業する目的を明確にする
- 本業と両立できるよう計画を立てる
- 実際に副業を探す
それぞれ具体的に解説します。
本業が副業を許可しているか確認する
すべての企業が副業を認めているわけではありません。情報漏洩のリスクや、従業員の労働時間超過を懸念して認めていない企業も多くあります。
まずは自分が働いている企業が、副業を許可しているか確認しましょう。認めていないにもかかわらず、副業していたことが知られてしまった場合は、懲戒解雇や減給などのペナルティを受けることもあるでしょう。内緒で副業している人もいますが、社内規定を確認して許可を取ってから始めるのがおすすめです。余計なトラブルに巻き込まれるリスクも減らせるでしょう。
副業する目的を明確にする
副業は目的を明確にしてから挑戦するのがおすすめです。副業は誰かに強制されるものではありません。目的もなく始めてしまうと、途中で面倒になってやめてしまう可能性が高くなるでしょう。
「お小遣いを月5万円増やす」「お金を貯めて旅行に行く」「10年以内にローンを返済する」「スキルを身に付けて独立する」など、自分なりの目的を決めてみてください。
本業と両立できるよう計画を立てる
副業に夢中になって、本業が疎かになるようなことは避けるべきです。本業でのパフォーマンスが著しく低下すれば、これまで積み上げた社内評価が下がることになりかねません。再び副業が禁止されてしまうこともあるでしょう。
また両方を無理して続けようとすれば、体調を崩すこともあります。あくまで本業をメインに、どのくらい副業に時間を使えるのか考えてみてください。どのくらいの時間を使えるかによって、できる副業も変わります。自分のキャパを超えないよう、無理のない計画を立ててから始めましょう。
実際に副業を探す
目的と計画が決まったら、いよいよ実際に副業を探してみましょう。近年ではインターネットを活用した副業が人気ですが、その数は100種類を超えるといわれています。どれを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。
そのようなときは自分が将来副業を通してどうなりたいか、どのくらいの副収入を得たいかで決めるとよいでしょう。気軽にお小遣いを稼ぎたいのであれば、ポイントサイトやアンケートモニターがおすすめです。
独立も視野に入れて始めるのであれば、スキルを高めるほど高報酬が狙えるWebライターやプログラマーなどはいかがでしょうか。クラウドソーシングサイトで検索すると、多くの仕事がヒットするので、自分に合いそうなものを探してみて下さいね。
副業を始めるうえでの注意点
多くのメリットがある副業ですが、始めるにあたっていくつか注意点があります。
- 体力、精神力の管理をする
- スケジュール管理をする
- 税金のことを考慮する
それぞれ具体的に解説します。
体力、精神力の管理をする
副業を始めると、必然的にオーバーワークとなってしまいます。初めから無理して副業で稼ごうとすれば、体調を崩しかねません。そうなれば先ほども触れたように本業にも支障が出るでしょう。
副業するならセルフマネジメントも求められます。がんばりすぎてポッキリと心が折れてしまうことのないよう、オンオフをしっかりと決めて無理のない範囲で進めましょう。
スケジュール管理をする
無理なく本業と副業を進めるためには、スケジュール管理が重要です。スケジュールがギッチリだと、こなすことが苦痛となって挫折してしまう原因となるでしょう。
楽しく続けられるようなスケジュールを考えることが、副業に取り組むポイントです。目標やタスクを細分化して書き出し、自分ができそうなペースでスケジュールを組んでいきましょう。
税金のことを考慮する
副業で収入が増えると、考えなければならないのが税金です。本業を持つ会社員の場合、年間で20万円以上の所得を得ると、確定申告する必要があります。もし多くの副収入を得たにもかかわらず確定申告しないと、無申告とみなされ余計な税金が課せられる可能性も。
最初から詳しく勉強する必要はありませんが、所得額が20万円を超えたら確定申告が必要になることは頭に入れておきましょう。ちなみに所得額とは、副業で得た収入の合計から必要経費を引いたものです。
まとめ
副業に関するニュースから、最近の副業事情をまとめました。副業解禁されたら挑戦したいと考える20代が9割にも上ることから、副業に関する興味関心が高まっていることがわかります。
働き方改革による副業解禁を推奨する動きも、要因といえるでしょう。副業を始めることは従業員側にとって収入やスキルアップ、企業側は優秀な人材の確保や事業拡大のチャンスなどがあります。
まだまだ副業解禁に関して手探り状態の企業も多いですが、うまく副業と両立できる仕組みを作って、お互いにとって相乗効果があるとよいですね。