【副業で法人設立】役員報酬ゼロだと社会保険はどうなる?

会社員と並行して、副業に取り組む人が増えてきました。なかには、安定した利益を得られるようになり、法人設立を考えている人もいるのではないでしょうか。法人の場合、個人事業主と違って税金や保険の仕組みが複雑です。

例えば、設立後の悩みとして多いのが給与。法人を設立すると、社長や役員は「役員報酬」を受け取ります。なかには法人にお金を残すことを考えゼロにしたいと考える人もいるでしょう。しかし、ゼロにすることで思わぬ落とし穴もあるのです。今回は法人設立で役員報酬をゼロにする場合の社会保険や、メリット・デメリットを解説します。法人にするタイミングにも触れているので、副業で法人設立を考えている会社員の人は、ぜひ最後までご覧ください。

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役員報酬をゼロにすることは可能なのか?

役員報酬をゼロにすることは可能なのか?

法人を設立して社長になった場合、受け取る報酬は従業員と同じように給与所得扱いになります。しかし、労働基準法で定められた労働者には該当しないため、結論から言えば役員報酬をゼロにしても特に問題はありません。

役員報酬は会社設立後、3か月以内に決めます。設立直後は経営も不安定なため、会社にお金を残すために役員報酬をゼロにしたいと考える人も多いでしょう。ただし、一度決定した役員報酬は、いつでも自由に変更できるわけではありません。一度決定したら、次に変更できるのは事業年度の開始時です。

例えば4月1日から翌年3月31日までを1事業年度としている場合、役員報酬の変更が可能なのは6月30日までです。それ以降に変更したいと思ったら、翌年の4月1日まで待たなければなりません。役員報酬は、慎重に検討しましょう。

役員に対する給与|国税庁

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役員報酬をゼロにすると社会保険はどうなる?

法人を設立すると、気になるのが社会保険です。法人を設立した場合、基本的に社会保険に加入しなければなりません。しかし、役員報酬ゼロの場合は対象になる支払いがないため、社会保険に加入できません。つまり、社会保険料はゼロということです。

もし副業で役員報酬を受け取った場合は、金額に応じた社会保険料が算出されます。この場合、もし本業に法人設立を内緒にしているなら注意が必要です。なぜなら、2社以上で社会保険に加入している場合は、年金事務所にその旨を届けなければならないから。

申請後、年金事務所では本業と設立した会社の報酬を按分して新しい社会保険料を算出します。そして新しい金額が本業にも通知されてしまうのです。このようなケースを防ぐため、あえて役員報酬をゼロにしている会社員もいます。

法人設立した会社員が役員報酬をゼロにするメリット

法人設立した会社員が役員報酬をゼロにするメリット

ここでは法人設立した会社員が役員報酬をゼロにした場合のメリットを解説します。

収益を上げやすい

1つめは収益を上げやすいことです。最初は安定した収益を上げられるか不安定なケースも多いでしょう。役員報酬をゼロにすれば、それだけ会社の支出を削減できます。

収益がプラスになれば、会社の見栄えも良くなるでしょう。銀行からの信用も上がり、融資してもらいやすくなります。会社を大きくするために、あえて役員報酬をゼロにする経営者もいます。

個人の税金負担を抑えられる

2つめは個人の税金負担を抑えられることです。役員報酬をもらえば社会保険はもちろん、金額に応じて所得税や住民税などの税金も支払わなければなりません。報酬が大きくなるほど、支払う税負担も大きくなります。

しかし、役員報酬がゼロであれば、個人に対する税金はかかりません。税負担をなるべく抑えるために役員報酬をゼロに設定するケースもあります。

法人設立した会社員が役員報酬をゼロにするデメリット

法人設立した会社員が役員報酬をゼロにするデメリット

役員報酬をゼロにすることで、利益の安定化や税負担を抑えるメリットがあります。しかし、一方でデメリットもあります。安易にゼロにせず、デメリットを理解したうえで慎重に判断しましょう。

税金の負担が増える可能性もある

役員報酬をゼロにすると、個人の税負担は減ります。しかし、その分が会社の利益として計上されるため、法人税の負担が増えてしまう可能性があるのです。もし、想定していたよりも利益が出た場合は、かえって税負担が大きくなるケースもあるでしょう。

利益が出ているからと途中で役員報酬を出そうと思っても、事業年度開始から3か月経っていれば途中で変更はできません。単純に役員報酬をゼロにすれば得するかといえばそうではないので、慎重に判断しましょう。

会社の信用が低下する可能性

役員報酬をゼロにすると、会社の信用が低下するリスクもあります。法人にすることで個人事業主より信頼が高くなるといわれていますが、報酬がゼロで社会保険にも加入していないとなれば「収入がゼロでどうやって生活しているのか」「どこかの受け皿的な会社なのではないか」「売上を大きく見せるためなのではないか」など、不信感を持たれる要因となります。

そうなれば、融資も難しくなってしまうでしょう。そのため、融資を受ける際は、他の収入源についてなどしっかり説明できるよう準備しておくことが大切です。

副業している会社員が法人設立するタイミングはいつがベスト?

法人設立はいつのタイミングがベスト

法人化のタイミングをいつにするべきか悩む会社員の人も多いでしょう。ここでは3つのおすすめパターンを解説します。

  • 副業の利益が500~700万円になったとき
  • 課税売上高が1,000万円を超えたとき
  • 不動産収入+給与所得が700万円を超えたとき

それぞれ具体的に解説します。

副業の利益が500~700万円になったとき

会社員が個人事業主として副業に取り組む場合、売上から経費を差し引いた金額で「所得税」がかかります。一方、法人にした場合は会社の所得金額に応じて「法人税」がかかります。

個人事業主の所得税の税率は、以下の通りです。

 課税される所得金額 

 税率 

 控除額 

 1,000円~ 1,949,000円 

 5% 

 0円 

 1,950,000円~3,299,000円 

 10% 

 97,500円 

 3,300,000円~ 6,949,000円 

 20% 

 427,500円 

 6,950,000円~ 8,999,000円 

 23% 

 636,000円 

 9,000,000円~17,999,000円 

 33% 

 1,536,000円 

 18,000,000円~39,999,000円 

 40% 

 2,796,000円 

 40,000,000円~ 

 50% 

 4,796,000円 

参照:所得税の税率|国税庁

個人事業主の場合は累進課税のため、所得税が低ければ税率も低く済みます。しかし、所得額が高くなるほど税率も大きくなります。一方で法人の場合は、所得額が高くても最大で23.2%です(開始事業年度が平成31年4月1日以後の普通法人の場合)。

つまり大きく利益が出るほど法人のほうが、税負担が軽くて済むのです。このような理由から、副業を法人化するのは年間の利益が500万を超えたくらいのタイミングがよいとされています。

課税売上高が1,000万円を超えたとき

課税売上高が1,000万円を超えたタイミングで、法人設立を考えてもよいでしょう。課税売上高とは、消費税の課税対象になる売上高のことです。土地の売却収入や住宅家賃などを除くほとんどが課税売上高に該当します。

そして課税売上高が1,000万円を超えると、消費税を納税する義務が生じます。しかし、超えてすぐに支払わなければならないわけではありません。義務が生じるのは「基準期間における課税売上高が、1,000万円を超えたとき」です。ここでいう基準期間は2年間を指します。

会社設立後2年間は基準期間が存在しないため、支払いが免除されるのです。個人事業主だった期間はカウントされません。そのため、課税売上高が1,000万円を超えたタイミングで法人を設立すれば、節税効果を得られるのです。ただし、ケースによっては課税される場合もあります。詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。

不動産収入+給与所得が900万円を超えたとき

副業で不動産投資している会社員の人もいるでしょう。この場合は本業と不動産の収入が合計して900万円を超えたあたりで法人設立すれば、節税効果があるとされています。課税所得が900万円を超えると個人の所得税よりも、法人税のほうが安くなるからです。

ちなみに不動産投資を法人化することは、相続のスムーズな手続きにも役立ちます。個人所有の不動産物件は所有者が亡くなることで相続税が発生しますが、法人の財産は相続財産に含まれず相続税や贈与税が発生しないからです。法人を設立した際に子供や親族を役員にして役員報酬として支給すれば、相続税や贈与税をかけずに資産の分配が可能となります。

現段階では収入が不安定であり、起業に際して一定の収入を確保しておきたいと考える人は「ITプロパートナーズ」に相談してみましょう。

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まとめ

役員報酬をゼロにした場合の社会保険やメリットデメリット、設立のタイミングを解説しました。役員報酬をゼロにすることで個人の税負担を抑えられる、収益を上げやすいなどのメリットがある一方、会社の信用低下や法人税の負担増などのデメリットが発生するリスクもあります。安易に役員報酬ゼロにせず、さまざまな視点から慎重に検討する必要があるでしょう。

また法改正が行われれば、新たなメリットやデメリットが生じる可能性もあります。少しでも疑問があれば、税理士など専門家に相談するのがおすすめです。

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