副業を始めて副収入が入るようになると、次に気になるのは税金のことです。せっかく収入が増えたのに、税金を払い過ぎて手取りが減るといった事態は避けなくてはなりません。
今回は副業に取り組んでいる人に知ってほしい、おすすめの節税対策を紹介します。個人事業主の人にとって特に気になる、経費の考え方にも触れているので、ぜひ参考にしてください。
副業で稼いでいる会社員ができる最強の税金対策5つ
会社任せの年末調整と違い、副業の収入に関しては、余分な税金を払わなくて済むように自身でしっかり対策する必要があります。会社員の人におすすめなのは、以下の5つです。
- 青色申告にする
- 法人化する
- ふるさと納税を利用する
- iDeCo(確定拠出年金を)
- 経費計上
それぞれの節税内容とメリットを解説します。
青色申告にする
個人事業主としてさまざまな優遇措置を受けられるのが、青色申告です。あらかじめ税務署に青色申告承認申請書を提出し、複式簿記で正しい記帳を行うことで、青色申告による確定申告が認められます。
青色申告にすると、副業の所得から最大65万円の控除が受けられます。さらに副業で損失が出た場合にも、給与所得から損失分を相殺できるのも魅力です。
損失額の残りは翌年から3年間の繰り越しも可能で、副業の所得と相殺すればさらなる節税効果が期待できます。また家族への給与の支払いも経費として計上可能になります。
会社員の副業として青色申告の対象となるのは、事業所得です。雑所得とみなされると、青色申告は適用されません。事業所得と判断する基準については後ほど解説します。
法人化する
所得額によっては法人化するのも一つの選択肢です。法人と個人事業主では、同じ所得でも納める税金の額が変わります。法人化した場合、800万円を超える所得への税率は23%ですが、800万円までの所得にかかる税率は15%で済みます。800万円の所得にかかる個人事業主の税は23%なので、法人化したほうがお得です。
個人事業主の税額は、195万円以下で5%、330万円以下が10%、695万円以下で15%と段階的に上がっていきます。自身の副業の所得を把握し、適切な法人化のタイミングを見極めましょう。
ふるさと納税を利用する
魅力的な返礼品で生活が楽しくなると人気なのが、ふるさと納税です。全国各地の市町村から好きな自治体を選んで寄付すれば、寄付金額の2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除されます。
自治体によっては寄付に対するお礼として、地元の名産の食品や日用品などを送ってもらえます。ふるさと納税で所得税・住民税が控除され、さらに返礼品で生活費も節約できるので、会社員には非常に魅力的といえるでしょう。
ふるさと納税を利用できる額には、所得に応じた上限があります。上限を超えた分については控除されないので、自身の所得をしっかりと把握してから検討しましょう。
iDeCo(確定拠出年金)
節税と老後のための資産運用の2つの観点で注目したいのが、iDeCo(確定拠出年金)です。投資信託などに月々掛け金を設定して積み立て、60歳過ぎてから受け取る制度です。
60歳まではお金を引き出すことができないので、生活に余裕がある場合でないとリスクもありますが、掛け金が全額控除できるのは大きなメリットです。また、iDeCoの運用で得た利益は非課税となります。老後の生活費を賢く準備したい人におすすめです。
経費計上
青色申告による節税は事業所得のみですが、雑所得の場合でもできる対策として、経費の計上があります。仕事で必要だった支出を経費として計上すれば、その分納税の対象となる所得額を抑えることができます。経費を計上するためには、領収書などの根拠となる書類を適切に保管し、1年分を確定申告書に正しく記載しなくてはなりません。経費の考え方は後ほど詳しく解説します。
副業の経費はどこまで認められる?
個人事業主として確定申告をするとき、悩ましいのは経費の問題です。納税額を抑えるため、支出はできるだけ経費として計上したいのが本音ですよね。その一方で、経費として認められないものまで計上してしまい、税務署から指摘されてトラブルになるのも避けたいところ。ここでは経費にできるものとできないものを、それぞれ具体的な例を挙げながら解説します。
経費にできるもの
仕事用として購入し、基本的に仕事のみで使用しているものは経費として計上できます。ただし会社員の副業の場合、仕事用で購入したものでも時々プライベートで使ってしまうこともあります。程度にもよりますが、仕事用のパソコンで時折プライベートな調べ物をするくらいのことであれば、経費として計上して問題はないでしょう。
購入した費用を計上するものとしては、パソコン・文房具・仕事机・カメラ・ソフトウェア・資料としての雑誌・取引先へのお歳暮などが挙げられます。さらに、仕事で移動した際の交通費・仕事関係者との飲食代・事業の宣伝をした広告掲載料なども計上可能です。
関連記事:副業で使うパソコンは経費で落とせる?経費について詳しく解説
経費にできないもの
当然ながら、仕事に関係ない物の購入費やプライベートの飲食代は経費の対象になりません。また、仕事のためとはいえ、健康を維持するための医療費や健康診断の費用も対象外です。仕事でも使用するスーツなどの洋服も、プライベートの使用と区別が難しいという理由で計上できません。
しかし、なかにはプライベートでも使用するものであっても、仕事で使用する割合を按分して計上できるものがあります。例えば、在宅ワークの場合の家賃、電気代や通信費などです。これらは全体から仕事で使用している面積・時間の割合を出して、それに応じた金額を経費として計上できます。
経費にできないものとできるものが混合している場合、客観的に納得できる計算に基づいて計上する金額を算出することが大切です。
副業で稼いでいる会社員が節税する際の注意点
最後に、副業に取り組んでいる会社員が節税対策において注意すべき点を解説します。あらかじめ知っておきたいのは、以下の2点です。
- 経費の説明ができるようにしておく
- 副業の規模に合った節税方法を選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
経費の説明ができるようにしておく
経費については税務署から説明を求められたときに備えて、領収書などを保管しておく必要があります。レシートなども日付の順にまとめ、業務上の支出の部分に印をして、それぞれどのように使用したものか、メモ書きをしておきましょう。
先ほど説明したように、1つの支出でも経費として計上できる部分と、できない部分が混合している場合があります。計上した数字の根拠となる割合や計算式を添えておき、説得力のある説明ができるようにしておかなくてはなりません。
経費の証拠書類は、7年間保管しておく義務があります。数年前のものを見返しても、一目で理解できるよう、日頃からきちんと整理しておきましょう。
副業の規模に合った節税方法を選ぶ
青色申告は節税対策として有効ですが、副業の規模が小さい場合には事業所得とみなされないために適用されません。青色申告か白色申告か、自身の副業の規模に合った節税対策を検討しましょう。青色申告の対象になるかどうかの明確な基準は公表されていませんが、主に以下の3つが判断のポイントになっています。
- 事業の売上
- 事業の継続性
- 事業にかける経費や労力
売上が不十分であったり仕事が単発であったりすると、事業所得ではなく雑所得として白色申告の対象になります。青色申告の控除を受けたい人は、毎月安定して、一定以上の売上を確保しましょう。
まとめ
副業で収入を得る場合、働いた分の手取りが減ってしまわないよう、適切な節税対策が必要です。節税は自身が主体性をもって手法を調べないと、税務署から教えてくれることはありません。
ただし、経費計上できるかどうか、自身の副業の規模で青色申告ができるかどうか迷った場合には、税務署に相談してみましょう。確定申告してから問題が起きて慌てないよう、早めの確認が大切です。今後も個人事業主として活動を継続していくために、税金や経費について正しい知識を身に付けておきましょう。
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