副業で納税義務が生じるのはいくらから?税金や確定申告の基礎知識を解説

副業を始めると同時に考えておかなくてはならないのは、副業で稼いだ分に対する税金です。会社勤めをしていると年末調整で会社が代わりに収入を申告してくれますが、副業で稼いだ分は自身で確定申告しなくてはなりません。

今回は副業でどのような税金が発生するか、納税が必要になる収入額について解説します。記事の後半では、必要書類や提出方法など確定申告の具体的な方法も紹介しています。「副業を始めたけれど、税金のことが不安」とお困りの人はぜひご一読ください。

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副業によって納税義務が生じる税金は主に2種類

副業で収入を得た場合に、課税が必要になる税金の種類を解説します。納税義務が生じる税金は主に以下の2つです。

  • 所得税
  • 住民税

それぞれの基本的な知識を身に付けておきましょう。

所得税

所得税とは、納税者の1年間の所得額にかかる税金のことです。所得税は国に納める税で、納税者自らが申告した収入額に応じて課税される申告納税制度が採用されています。

所得税を計算するときに注意したいのが、収入ではなく所得で決まることです。現在では多くの人がクラウドソーシングサービスなどを利用して、業務委託契約で副業に取り組んでいます。業務委託で雑所得を得ている場合は、報酬の総額から経費を引いて所得を算出します。そのため、所得は毎月の収入から想定するよりも低くなるのが一般的です。

雑所得ではなく給与所得の場合、交通費や交際費などの経費は発生しません。しかし雑所得・給与所得とも各種控除があり、所得額を抑えることができます。

住民税

住民税も所得税同様に1年間の所得に対してかかる税金ですが、地方自治体に納める地方税のため、申告納税制度ではなく賦課課税方式が採用されています。賦課課税方式とは、納税者の申告手続きではなく、税関長の処分によって納税額が決定する制度です。

住民税の内訳は二層構造となっていて、1つめが所得額に一定の税率をかけて算出される所得割、そして2つめが所得額に関係なく一律の金額が課せられる均等割です。一般的に所得割は10%の税率がかけられ、均等割は一律5,000円〜5,500円程度が課せられます。

いくら稼いだら確定申告が必要?

いくら稼いだら確定申告が必要?

副業では所得が一定額を超えると、確定申告が必要になります。ここではアルバイト・パートなど給与所得の場合と、それ以外の場合に分けて課税の条件を解説します。

アルバイトやパートで給与をもらう場合

アルバイトやパートでは雇用契約を結び、給与という形で収入を得ます。給与所得の場合は経費がないので、1年間の収入の合計が20万円を超えたら確定申告が必要です。

会社員の副業では複数のアルバイト先を掛け持ちすることは少ないかもしれませんが、2か所以上の勤務先から給与を得る場合は、すべての勤務先からの給与を合計した金額で計算するので気をつけましょう。

給与所得以外の場合

副業で給与所得以外の収入を得た場合、所得が20万円を超えれば確定申告が必要です。給与所得以外では、売上や報酬などの総額から仕事にかかった経費を引いて、所得額を算出します。

給与所得以外では、会社員の副業のほとんどは雑所得です。ネット上で物を販売した売上や、クラウドソーシングサービスなどを介した業務委託の報酬などが雑所得に該当します。複数の副業で雑所得を得ている場合も、すべての総額が20万円を超えるかどうかがポイントです。

住民税は収入額にかかわらず申告義務あり

ここで注意しておきたいのは、所得が20万円以下の場合でも住民税の申告が必要だということです。通常、副業分の収入についての情報は、確定申告によって税務署から居住地の自治体へと伝えられます。しかし確定申告しない場合はその伝達が行われないため、納税者が自身で市役所などへ出向いて申告しなくてはなりません。

所得が20万円以下だったので確定申告の手間がないと安心していると、思いがけず住民税の申告漏れでペナルティを受ける可能性があるので気をつけましょう。

確定申告に必要な書類や提出方法とは?

確定申告に必要な書類や提出方法とは?

ずっと会社勤めをしていて確定申告のシステムに不慣れな人は、初めてで不安も大きいでしょう。申告の時期が来てから慌てて調べなくて済むように、確定申告の基本的な知識を身に付けておくことをおすすめします。ここでは以下の5つについて解説します。

  • 確定申告に必要な書類
  • 申告書の作成
  • 確定申告の提出方法
  • 確定申告の提出期間
  • スマートフォンでの確定申告も可能

現在は国税庁のサイト上で手軽に確定申告ができるので、本業が忙しい人でも正しい知識さえあればスムーズに申告できるでしょう。

確定申告に必要な書類

確定申告するには、まず必要な書類を揃えなくてはなりません。必要書類一覧は以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 本人確認書類(マイナンバーカード)
  • 銀行口座がわかるもの(還付金を受け取る場合、あるいは口座振込で納税する場合)
  • 所得を証明するもの(青色申告決算書や収支内訳書など)
  • 各種控除の証明書(寄付をした場合、あるいは住宅ローンや医療費の控除を受ける場合)

確定申告書は税務署で手に入れるか、国税庁のWebサイトからダウンロード可能です。電子申告の場合は、確定申告書作成コーナーで入力しそのままオンラインで提出できます。

青色申告者であれば青色申告決算書、白色申告者は収支内訳書が必要です。雑所得の場合は白色申告のみ可能です。それぞれ売上や経費、仕入れの額などを記入します。どちらも国税庁のサイトからダウンロードできますし、電子申告の場合は表示されるフォーマットに入力していけば簡単に作成可能です。

申告書の作成

確定申告書は自力で作成するか、確定申告に対応した会計ソフトを使用して作成します。現在は国税庁の申告書等作成コーナーから作成すれば自動で金額を計算してくれるので、会計ソフトを使用しなくても計算ミスを防ぐことができるでしょう。

申告書に記載するのは主に収入や経費、所得の内訳、それらから算出される納税額などです。他にも自身や家族についての事項、控除に関する事項などがあります。基本的には申告書作成コーナーから入力すれば、表示される質問に回答していくだけなので、それほど難しい作業ではありません。申告書の作成にあたっては、収入や経費の数字などをあらかじめ手元に揃えておきましょう。

確定申告の提出方法

確定申告の提出方法は主に3つです。

  • 税務署に持参する
  • 郵送で提出する
  • オンライン上で電子申告する

平日昼に働いている会社員にとって税務署の業務時間内に持参するのは大変ですが、添付書類などに不備がないか不安な人には、窓口で確認してもらったうえで提出できるメリットがあります。また税務署の業務時間外であっても、時間外収集箱に投函も可能です。

特に推奨されているのは、国税庁のe-Taxによる電子申告です。確定申告の期間内であれば、24時間いつでも好きなときに申告書の作成と提出ができます。e-Taxはあらかじめ利用者識別番号やパスワードを取得したり、マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンか機器を揃えたりと、最初は少し手間がかかります。しかし慣れれば、本業が忙しい会社員にとって便利な提出方法です。また、確定申告は郵送でも受け付けています。信書として書留や簡易書留で送るようにしましょう。

確定申告の提出期間

確定申告の提出期間は、毎年2月16日〜3月15日となっています。決められた期間内に申告しないと、特別な事情がある場合を除きペナルティの対象となり、無申告加算税が課せられるので注意してください。

なお、新型コロナウイルスの影響により提出期間が変更になる場合もあるので、正確な情報は国税庁のWebサイトをチェックしましょう。

スマートフォンでの確定申告も可能

確定申告をオンラインで行う電子申告の場合は、スマートフォンでも対応できます。スマートフォンで確定申告できるのは、給与所得・雑所得・一時所得を得ている人です。

パソコンで手続きする場合と同様、国税庁の申告書等作成コーナーにアクセスして、質問事項に回答していくだけで簡単に申告書を作成できます。

ちなみにスマートフォンでの申告には、あらかじめ税務署で取得したID・パスワードが必要です。また本人確認書類の提出もスマートフォンからになるので、機種がマイナンバーの読み取りに対応しているかも確認しておきましょう。

本業にバレない確定申告のやり方とは?

本業にバレない確定申告のやり方とは?

副業の確定申告で多くの人が気になるのは「確定申告すると勤め先に副業がバレるのでは?」ということではないでしょうか。しかし、確定申告は納税者の義務として避けられません。そして確定申告で適切な手続きをすれば、バレないように対策も可能です。

確定申告すると住民税を合算して本業の給与から差し引くため、通常は勤め先に副業分の住民税額も通知されてしまいます。これを防ぐには、住民税に関する事項の欄で「自分で納付」にチェックを入れます。そうすれば住民税の通知は自宅に送られ、勤め先に知られずに済むでしょう。

ただし、副業がバレる要因は住民税額だけではないので、確定申告書だけで100%確実に防ぐことはできません。もし可能であれば、本業に副業のことを相談しておくことをおすすめします。勤め先にバレることを不安に思いながら始めるよりも、前向きに副業に取り組めるでしょう。

まとめ

副業でも年間20万円を超える所得があれば、確定申告しなくてはなりません。毎月ある程度の副収入を得たいと考える人であれば、高い確率で確定申告は必要になるでしょう。

確定申告は難しそうなイメージがありますが、現在ではオンラインで申告書を作成して送信できる国税庁のサービスがあるため、初めての人でも比較的簡単にこなすことができます。

まずは期間内にきっちりと申告の手続きを終えることが大切です。経費や控除の考え方など、個々のケースでわからないことがあれば早めに相談しましょう。

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