新型コロナウイルスの影響から、在宅ワークを選ぶ人が増えてきました。中でもシステムエンジニアやフロントエンジニアといったフルリモートで働ける職種が人気で、転職市場も活況です。未経験からエンジニアを目指したいという人も多いのではないでしょうか。エンジニアのなり方、仕事の種類、未経験からでも登録できる求人サイトなど、詳しく解説します。
未経験からでもスタートできる? フルリモートで働けるエンジニアの仕事内容や特徴、仕事の探し方について解説します
フルリモートで働けるエンジニアとは?
新型コロナウイルスの影響でリモートワークという働き方が浸透し、IT系エンジニアなどフルリモートで働ける職種の人気が急上昇しています。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2019年)」によると、エンジニアの平均年収は568万円程で、他の職種に比べて比較的高く、人手不足が予想されることからも注目を浴びています。
エンジニアの仕事は、パソコンさえあれば完結できる部分が多く、リモートワークに向いています。従来から、フリーランスのエンジニアが活躍していたこともあり、在宅業務をしやすい土壌が育っていたといえるでしょう。
そもそもエンジニアとは?
「エンジニア」とは、エンジニアリング(工学)の専門的な知識を持つ技術者のことを指します。一口にエンジニアといっても、IT系のみならず、工業系や数学、自然科学など、職種や専門分野は広範囲にわたります。IT業界に従事し、プログラムを組んだりコードを扱ったり、アプリやシステムの開発を行ったりする人のことを「ITエンジニア」と呼び、仕事内容はそれぞれの専門分野によって異なります。。
IT業界では、インターネット技術の急速な発達と社会インフラとしての役割が多様化したことにより、人材不足が課題となっています。つまり、年々エンジニアの需要が高まっており、未経験からでもスタートできるチャンスが増えているのです。
エンジニアの種類
エンジニアには、アプリケーションを開発する仕事、サイト構築を行う仕事、システムの保守・運用を行う仕事など、さまざまな職種があります。IT・Web等のエンジニアの職種を、5つ紹介します。
・システムエンジニア
「システムエンジニア」は、クライアントからのさまざまな要望や課題をヒアリングし、その要望に適したシステム開発を行う職種です。開発内容や担当する案件によりますが、開発現場でプログラマーに指示を出したり、実際にプログラムを組んだり、システムを設計・導入・運用したりします。
開発対象は、Webサービスや自社システム、アプリケーションなど多岐にわたります。経験年数を経てキャリアアップすると、プロジェクトマネージャー(PM)として開発チームを管理する役割を担えるようになるでしょう。
どのようなシステムを構築するか、アプリやサイトを開発・構築する際に使う言語やOSはどのようなものにするかなどの要件によって、エンジニアに求められる知識や技術は異なります。例えば、金融関連のシステムエンジニアであれば、プログラム言語を習得するだけでなく、金融業務に関わる資格を持っておくと業務がスムーズに進むケースがあります。
システムエンジニアを目指す場合、どのようなものを開発するかによって身につけるべき技術が変わるので、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
・フロントエンドエンジニア
「フロントエンドエンジニア」とは、HTMLやCSS、JavaScriptなどを使って、Webサイトを構築する職種です。Webデザイナーが作成したデザイン案を元に、HTMLなどの言語を使ってコーディングを行います。さまざまなコンピュータ言語を駆使し、ユーザーが画面越しに閲覧するWebサイトの構築・設計を行うのが、フロントエンドエンジニアの業務です。
開発現場によっては、フロントエンドエンジニアがデザインやディレクションまで行う場合もあります。入社する前に、どこまでが自分の担当業務になるかを確認しておくとよいでしょう。コーディングのみを専門とする「コーダー」または「マークアップエンジニア」と呼ばれる職種もあり、コーダーからキャリアをスタートして、フロントエンドエンジニアを目指すことができます。
・データベースエンジニア
「データベースエンジニア」は、データベースの設計や開発、または管理・運用を行うエンジニアのことです。データベースとは、情報やデータを保管する倉庫のようなもので、近年、企業が持つ膨大な情報やデータを整理したり、ビッグデータを活用したりするために、インターネット上に保管するためのデータベースが必要不可欠になりました。
膨大なデータが格納されている倉庫から必要な情報を素早く取り出すためには「データベース管理システム」が必要で、例えばMySQLやPostgreSQLなど、無料で使えるものから有料で契約するものまで、さまざまな種類があります。データベースエンジニアは、「データベース管理システム」の専門家として、データベースの開発・設計・構築・管理・運用を行います。
データベースエンジニアの中でも担当分野によって職種がさらに細分化されるので、自分がどういった業務を専門としたいか、事前に検討しておくことをおすすめします。
・インフラエンジニア
「インフラエンジニア」は、私たちがインターネットやシステムを使う際に必要な、サーバーやネットワークを管理・整備する仕事を担います。インフラエンジニアの業務領域は幅広く、「サーバーエンジニア」「ネットワークエンジニア」「セキュリティエンジニア」「品質保証エンジニア」など、役割によってさらに職種が細分化されています。
サーバーエンジニアは、メールサーバーやファイルサーバーなどの設計・構築、システム障害の際の復旧作業など、ユーザーの目には触れない部分を担当します。ネットワークエンジニアは、サーバー同士やコンピュータをハブやルーター、LANケーブルなどでつなぎ、安定したネットワークを提供する仕事を行います。
インフラエンジニアは、どの分野を担当するかによって扱う言語やOSが大きく異なるので、どのような技術が必要か、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
・ゲームエンジニア
「ゲームエンジニア」は、家庭用ゲーム機のソフトやスマートフォンのゲームアプリなど、さまざまなゲームを開発するのが仕事です。ゲーム開発には、プログラミング言語の習得が欠かせません。例えば、家庭用のゲームであればC言語を使用し、スマートフォンなどのゲームアプリでは、JavaやRubyといったプログラミング言語を使用します。また、UnityやUnreal Engineなど、ゲームシステムを構築するゲームエンジンの知識も必要です。
さらに、ゲームエンジニアは英語力があると、英語圏発信の最新情報にアクセスしやすくなり、業務上でも有利でしょう。欧米でもゲーム市場の規模が大きくなり、ソーシャルゲームなどでは韓国・中国の開発力が注目されています。英語のスキルがある人は、グローバルに活躍できるチャンスがあるので、面接などでアピールするとよいでしょう。
未経験からのエンジニアのなり方
エンジニアと聞くと、IT系の専門職というイメージから、経験者しか転職できないのではと考える人もいるでしょう。しかし、業界全体でIT人材が不足しているため、「未経験でもOK」として募集している企業が数多く存在します。
とはいえ、まったくの未経験でいるよりも、何かしらの準備をしていた方が就業に有利でしょう。未経験からエンジニアになるための3つの道について、紹介します。
・プログラミング言語を独学で習得する
未経験からエンジニアを目指す場合、独学でプログラミング言語の習得にチャレンジするという道があります。プログラミング言語が学習できるサイトや、プログラマーが執筆した書籍、学習アプリなどを活用して勉強を進めましょう。
プログラミングの学習ツールには、無料・有料含めさまざまなものがあり、プログラミング言語のジャンルや難易度もそれぞれ異なるので、自分に合ったサービスやツールを探すつもりで、まずは試してみることをおすすめします。
独学で勉強する大きなメリットは、自分のペースで学ぶことができる点です。特に、会社員などで働きながら転職を目指す人にとっては、自由な時間やスキマ時間で学習を進められるので、負担なくスタートすることができます。しかし、学習の進捗状況などは自分でコントロールしなければならないため、意志を強く持って学習を進める必要があります。
・オンラインスクールで学ぶ
社会人の学びの場としては、夜間や休日に通うビジネススクールがありました。近年は、オンライン会議システムなどを活用したオンラインスクールが増えています。WebデザインやIT知識の学びとオンライン教材は適合性が高く、WebデザイナーやITエンジニアを育てるオンラインスクールが数多く存在します。
オンラインスクールには、さまざまなタイプがあります。例えば、講師の授業に従って課題を進めながら習得していくスクールや、オンデマンド教材を活用しながら自分で学習を進め、わからない箇所が出てきたら講師に質問するスクールなど、オンラインスクールによって進め方や学び方が異なります。
各スクールでは、無料のオンライン体験セミナーなども実施されているので、実際に体験してから入校を検討するとよいでしょう。自分はどのようなタイプのスクールが合っているのか、学習時間の確保イメージ、卒業後のフォロー体制などをチェックしておきましょう。
・アシスタント業務からスタートする
いち早くプログラミング言語を習得したいのであれば、働きながら現場で学んで習得していく道もあります。未経験からでも転職できる求人があれば応募するなどし、アシスタント業務からスタートして習得を目指しましょう。
未経験から就業した場合は、最初からいきなりプログラミング言語を使う業務を担当するのではなく、一定の研修期間を経てOJTを受けることになるでしょう。上司や先輩の補助にあたり、実務に直結したノウハウを学ぶことができるので、エンジニアとしての成長スピードも早くおすすめの方法です。
正社員スタートが難しい場合には、副業やアルバイト、紹介予定派遣などから始めて、ある程度の実務経験を積んでから正社員を目指す方法もあります。
エンジニアはどのような人が向いている?
エンジニアの仕事に興味があっても、自分がエンジニアに向いているのかどうかわからない、という方もいるのではないでしょうか。どのような人がエンジニアに向いているか、3つの特徴を解説します。
・ヒアリング力がある
エンジニアなどIT系の職種はパソコンに向かって黙々と作業をするイメージがあるのではないでしょうか。そのイメージからは連想しにくいかもしれませんが、実はエンジニアには、「ヒアリング力」が求められます。
特に、システムエンジニアの役割としては、クライアントやチームメンバー、協力会社のエンジニアなど関係各所とコミュニケーションを取りながら業務を進めることが大切です。開発プロジェクトのスタートでは、システム設計に落とし込むため、クライアントがどのような課題を抱えているのか、どのようなシステムを希望しているのかを、深くヒアリングできるスキルが必要になります。
相手の意図をくみながら必要な要件を聞き出し、情報を整理することが得意な人は、エンジニアに向いているといえるでしょう。
・論理的に物事を考えられる
論理的に物事を考えることが得意な人は、エンジニア職に向いています。システムを構築・開発するためには、順序を組み立てながら設計するなど、論理的な思考能力が必要です。
例えば、作業スケジュールを綿密に組み立てたり、要件定義についてわかりやすくクライアントに説明したりと、論理的能力が必要とされるシーンが多々あります。特に、システムエンジニアは作業項目が多いので、タスクを整理しながら堅実に業務を進めることが大切です。
数字に強く、物事を論理的に考えて実行できる人は、エンジニアに向いているといえるでしょう。
・学習意欲が高い
IT業界は、日々さまざまな新しいツールやサービスが誕生します。そのため、新しいことに目を向け、常に学ぼうとする学習意欲がある人に、エンジニアは向いているでしょう。新しい技術を習得しようとする意欲があれば、業界から必要とされ、求められる人材になれます。逆に、今の技術で充分だと考えていたり、新しいことを学ぶ意欲が薄かったりする人はエンジニアとして飛躍していくのが難しいといえるでしょう。
今注目されているトピックには、IoT、AI、ビッグデータ活用、ロボット技術などがあります。これらを専門分野とするエンジニアはまだまだ少ない状況なので、積極的に学ぶと活躍の場が広がります。
未経験でも応募可!エンジニアの求人情報サイト6選
未経験でも応募可能な、エンジニアの求人情報サイトを6つご紹介します。エンジニアは、クライアントの業界や専門分野によって、同じ名称の職種でも仕事内容が異なることがあります。求職者をサポートしてくれる体制が整っているサービスを選ぶと、不明点などを確認しながら就職活動ができるでしょう。
・ReWorks(リワークス)
「ReWorks」は、フルリモート求人に特化した転職支援サイトです。株式会社アイドマ・ホールディングスが運営しており、完全在宅で働ける求人をメインに扱っています。掲載されている職種には、エンジニアの他に、デザイナー、営業、経理、データ入力などがあります。
リワークスのこだわり検索には、「未経験者歓迎」の項目があるので、「エンジニア×未経験者歓迎」で検索してみましょう。他に、「時間・曜日が選べる」「継続案件」「交通費支給」「研修あり」「週3日以内勤務」などがあり、自分が希望する条件とマッチした求人を素早く検索することができます。
また、完全リモートを中心とした求人を扱っているので、自分の住んでいる地域のみならず、全国の求人に応募することが可能です。地方に住んでいても勤務地に縛られず、東京など都市部に本社がある企業の求人に応募できるので、選択肢が大きく増えるでしょう。
さらに、専門のキャリアアドバイザーによる無料の就職相談や就職サポートを受けることもできます。登録しておくだけで、新着求人やおすすめの求人情報が届く「メール配信機能」もあるので、まずは登録して、どのような求人が届くのかチェックしてみましょう。
■ReWorksでのエンジニアのお仕事探しはこちら
・doda(デューダ)
「doda」は、パーソルキャリアが運営する転職エージェントで、掲載求人数が多く、業界や職種も多岐にわたります。経歴を登録しておけば、自分にぴったりの求人を紹介してもらうことができ、高品質なマッチングを生み出している点が特徴です。
「IT系エンジニア」「モノづくりエンジニア」などの求人も数多く取り扱っています。IT系エンジニアでは「言語」「開発環境」、モノづくりエンジニアでは「スキル/資格」「業種/製品」など、それぞれ独自の検索条件で求人情報を探すことができます。
dodaのこだわり条件では、「年間休日120日以上」「土日祝休み」「フレックス勤務」「完全週休2日制」「転勤なし」「残業手当あり」「賞与年2回」など、働き方やプライベートを大切にしたい人におすすめの検索条件も用意されています。また、「dodaエージェントサービス」を利用すれば、キャリアアドバイザーに相談でき、就業後も1年間アフターフォローをしてもらえるので安心ですね。
再雇用制度があるものや40代が活躍中の企業など、年齢を重ねても活躍のチャンスがある求人も数多く掲載されています。
・RECRUIT AGENT(リクルートエージェント)
「リクルートエージェント」は、リクルートが運営するIT・エンジニアに強い転職エージェントです。公開求人数は、ITエンジニアの求人だけでも4万件以上(2022年3月現在)。エンジニアの中でも職種が細かく分けられており、プログラマー、社内SE、セールスエンジニア、システム監査など、希望する職種を指定して検索することが可能です。
また、エージェントサービスでは、求職者が希望する職種・業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが求人情報をピックアップしてくれます。求職者の今の能力や将来的なキャリアパスを踏まえた求人を提案してくれるので、より希望にマッチしやすい情報に出会えるでしょう。また、平日・土日にかかわらず電話・オンライン面談・対面などの方法で転職活動のサポートを受けられるので、会社員として働きながら転職先を探している人にもおすすめです。
「月残業10h以下」など条件を絞って探すこともできるので、プライベートを充実させたい人は条件検索を活用するとよいでしょう。
・Green(グリーン)
「Green」は、IT・Web人材採用プラットフォームです。IT事業を行っている株式会社アトラエが運営しており、2022年3月現在、1万5000件以上の求人情報を掲載。登録者の8割が20〜30代で、経験者や中途・第二新卒、中には未経験を対象とした求人も扱っています。
求人情報の閲覧から応募まで、スマホ1台で完結させることができ、面接前のステップとして、「カジュアル面談」を設定している点が特徴的です。気になる企業とマッチングが成立すると直接連絡を取ることができ、エージェントを挟むよりもやり取りがスムーズだとして注目されています。企業からもスカウトしやすいシステムなので、アプローチ率の高さにも定評があります。
職種の検索キーワードには、「エンジニア・技術職」「クリエイティブ職」「企画・マーケティング職」などがあり、職種を細かく指定できます。また、「求人に関する条件」では、「学歴不問」「服装自由」「残業少なめ」などの条件で求人を探すこともできます。
・paiza転職(パイザ転職)
「paiza転職」は、ギノ株式会社が運営するIT・Webエンジニア向けの求職・学習サイトです。プログラミング力、コーディング力をサイト上でスキルチェックすると、対象企業の求人情報が表示されるという仕組み。
スキルチェックで求職者の実力を可視化し、企業が求めているスキルレベルにマッチした求人のみ応募可能という転職システムなので、ミスマッチが起きにくくなります。詳細検索では、給与を指定して検索することもでき、今よりも月給をUPしたい人にはおすすめの検索機能です。
兄弟サイトのEN:TRYには、未経験または実務経験が少ない人向けのIT・Webエンジニア求人が集約されています。また、paizaラーニングという動画学習サイトもあるので、学習・スキルチェック・応募というサイクルで、エンジニアにチャレンジすることができます。
・WORKPORT(ワークポート)
「WORKPORT」は、IT系・クリエイティブ職の求人を多く扱う転職エージェントです。未経験からの異業種転職のサポートも積極的に実施しており、特にIT業界の経験がない方にはおすすめの転職支援サービスです。
「詳細条件から探す」をクリックすると、年収の指定や、エリアの絞り込みなど、希望の条件から求人を探すことができます。そのまま、求人サイトとして活用することもできますが、会員登録をしてマイページにログインすると、より便利なサポート機能を使えます。
また、豊富な実績を持つ転職コンシェルジュに無料で相談することができます。履歴書などの各種応募書類の作成・添削、面接対策や退職に関するアドバイスを受けられるので、転職活動が初めての方でも安心してチャレンジすることができるでしょう。
ワークポートは、まったくの未経験からエンジニアを目指す人をサポートするエンジニアスクール「みんスク」も運営しています。「みんスク」では、「PHP」「Java」「Linux」の学習を進めながら転職相談を受けられます。実際に「みんスク」を利用した人から多数の口コミが寄せられているので、公式サイトをチェックしてみましょう。
まとめ
IT人材が不足している今、未経験からでもエンジニアに挑戦できるチャンスが広がっています。未経験から転職するためには、プログラミングの知識を少しでも備えておくと、書類審査を通過しやすくなったり、企業に意欲をアピールしたりできるでしょう。プログラミング言語の習得には、自分のペースで学習できる独学や働きながらでも続けやすいオンラインスクールなどの方法があります。
エンジニアは、これからの時代さらに需要が増し、企業ニーズが高まっていく職種です。転職活動を実現させるために、「どのようなシステムを構築したいのか」「どのようなジャンルに関わりたいのか」「どの言語を習得すればよいのか」など、しっかりリサーチしてから取り組んでいきましょう。