学生の本分は学業ですが、プライベートを充実させるために授業やサークル活動以外の時間をアルバイトに当てようと考える人も多いでしょう。アルバイトといえば、自宅や学校近くの就業場所に行き、時間単価で働くというイメージですが、収入を得る手段として「副業」を選択してみてはいかがでしょうか。
副業のなかには、時間単価制のアルバイトよりも効率が良かったり、将来に役立つスキルを身につけられたりと、学生にとってメリットが大きいものが多数あります。今回は副業とアルバイトの違いやどのような副業があるのか、副業を始める際の注意点などを紹介します。
副業はアルバイトとは何が違う?
副業とアルバイトの大きな違いは「雇用されるか否か」という点にあります。アルバイトは飲食店や小売店、運送会社、学習塾などに雇われて、雇用主の決めた仕事内容や就業時間を遂行することで収入を得る働き方が一般的でしょう。
アルバイトは、やりたい仕事があってもスタッフが足りているために採用されなかったり、採用されてからも空いている時間と必要とされているシフトが合わず、希望する時間数まで入れなかったりします。雇用されるということは、雇用側の事情によって働き手が振り回されることの多い形態だといえるでしょう。
副業は本業を持つ社会人が副収入を得るために、さまざまな事業をすることです。インターネットを通じたやりとりが主となる仕事が増え、間口が広がったことで高校生や大学生もトライしやすくなりました。副業の特徴を3つ解説します。
誰にも雇われず自分で稼ぐ
副業の始め方には、大きく2つのパターンがあります。一つは依頼主と業務委託契約を結んで仕事を請け、納品数や契約数など成果があった分の報酬を受け取るパターン。もう一つはECサイトやブログ、YouTubeなどを活用して自分でビジネスの形をつくり、収益を上げていくパターンです。
いずれも自己裁量度が高く、仕事量を自分でコントロールできるので、学生でも実現可能な稼ぎ方です。「月に〇時間を仕事に当てて、その他の時間を学業に当てるようにする」「欲しいもののために、〇万円稼げるようになるまで続ける」など、自分の目標に合わせて計画を立てましょう。
いつでもどこでも作業ができる
多くのアルバイトは店舗や事業所などへ出向き、タイムカードを押してから数時間拘束されることになります。しかし今注目されている副業は、インターネットを活用したものが多く、ネット環境さえあれば、どこでも作業ができる仕事が数多くあります。
講義の空き時間や友人との予定が変わったときなど、突発的なスキマ時間でも、ネット環境の備えさえあれば作業を進められるので、先々の予定を組みにくい人でも仕事時間を確保しやすいでしょう。また学校や自宅の近くにアルバイトができるような場所がない人でも、ネットを活用した副業なら地理的な要因に左右されず仕事ができます。
自分の資産になる
一般的なアルバイトは働いた時間分の収入を確実に得られる反面、単調な仕事であったり、責任の範囲が限られていて誰にでもできるものしか任されなかったりします。副業は気軽に始められるものが多くある一方で、スキルを磨きビジネスの方法を工夫すれば、効率的に収入を得られるようになるものもあるという点が魅力です。
副業で磨いたスキルは、就職活動や独立・起業などで役に立つことでしょう。また個人メディアの収益化に成功すれば、社会人になってからも継続的に収入を得られます。
学生におすすめの副業5選
数ある副業のなかでも学生におすすめの副業を5つ紹介します。自身の適性や、将来的に役に立つかを考慮して仕事を選びましょう。
Webライター
Webライターは、企業のWebサイトや商品紹介ブログ、各種団体の情報提供サイトなどに掲載される文章を執筆するのが仕事です。文章力が問われる仕事ですが、得意分野や興味のある分野の記事であれば、抵抗なく書き進められるでしょう。
1記事あたり数百文字を書いて、報酬も数百円という初心者向けの案件から、1万文字前後の記事を書いて、報酬は1文字あたりの単価で算出されるという上級者向けの案件まで、さまざまなものがあります。タイピングスピードが速ければ効率的に収入が得られるので、ブラインドタッチが得意な人におすすめです。
Webライターの仕事は、クラウドソーシングサービスで多数募集されています。またサイトを運営する企業が、求人サイトなどを通じて募集していることもあります。他にもライターテストに合格すると、登録できるマッチングサービスもあります。
プログラミング
プログラミングは、コンピューターを動かすためにプログラミング言語を使って指令コードを書き出す仕事です。プログラミングはWebサイト開発やアプリ開発、ゲーム開発やシステム開発には欠かせません。プログラミングスキルが必要なため、気軽に始められるとは言い難いですが、IT業界に興味があるのなら、身に付けておくと就職活動にも役立つでしょう。
プログラミングのスキルは、書籍や解説ブログなどから独学で身に付けることもできます。しかし、いずれ本業にしたいと考えるなら、オンラインスクールなどを活用して体系的に学んでおくのがおすすめです。
せどり
せどりは、もともと古本業界での用語でしたが、今では「転売で利益を出すこと」を意味して使われています。オークションサイトやフリマアプリなどの普及で「商品を安く仕入れて、利益を乗せて売る」という商売を個人でも実践しやすくなりました。
せどりは始めに商品を仕入れる必要があるため、資金に余裕のある人におすすめです。また商品の実際の市場価値などを判断する目利きのセンスが必要で、おのずとマーケティングの知識が身につくというメリットがあります。仕入れ値・経費・利益を意識したビジネスは、経済的感覚を養うのにも役立つでしょう。
せどりを副業とするなら、古物商の許可申請をしておくと安心です。またコンサートチケットやイベントチケットなどの転売は、ダフ屋行為として規制対象になっていることがあります。違法転売に適用される法律や条令などをきちんと調べて、適正な運用を心がけましょう。
ポイントサイト
スキマ時間を活かせる副業を探しているのなら、ポイントサイトがおすすめです。「お小遣いサイト」「ポイ活」などの名称で検索すると、さまざまなサービスを見つけられるでしょう。
アンケートへの回答や広告閲覧、紹介サービスへの登録、ミニゲーム、ショッピングサイトでの買い物などがポイントとなり、貯めたポイントを換金したり、電子マネー化・ギフト券化したりすることができます。通学時間や就寝前のひとときをポイ活の時間として習慣にすれば、お小遣いが増えますよ。
個人情報の入手が目的の悪質なサイトも報告されているので、大手企業が運営している信頼できるサービスを選択しましょう。
YouTube
小学生の将来なりたい職業にYouTuberが挙がるほど一般化した動画配信業ですが、人気が高まったことで収益化のハードルも少し上がっています。1再生あたりの収入は0.05円〜1円なので、動画撮影・編集技術と同時に再生数を延ばすための工夫も大切です。
YouTubeへの動画配信は、自身をタレントとして企画映像をアップする以外にも、ゲーム配信や情報配信、ノウハウ提供、動物動画など、さまざまなコンテンツが考えられます。またチャンネル運営ではなく動画編集のスキルを磨いて、配信したい個人から仕事を請け負って収入を得る方法もあります。
失敗しない副業の選び方
副業にはさまざまなものがありますが、何を始めるか検討する際には、あくまでも学生であることを意識しておきましょう。副業の選びの条件として、注意しておきたい3つのポイントを紹介します。
初期費用が大きくかからないもの
「お金が欲しいから」という理由で副業を始める場合、手元に資金があるという人は少ないでしょう。副業のなかには初期費用が必要なもの、収入を得られるようになるまで時間がかかるものなどがあります。
例えばせどりは商品を一度購入してから販売するため、利益1割としても月に3万円の収入を目指す場合は、仕入れに30万円の資金が必要となります。仕入れと販売をこまめにこなしてもスムーズに売れるとは限らないため、ある程度余裕を持った資金運用が重要です。
またブログ運営について調べ始めると、本格的なサイトを構築できる有料テーマに魅力を感じるかもしれません。現在主流となっているWordPress(ワードプレス)はサーバレンタル料などが必要で、高機能を備えた有料テーマも多数提供されていますが「初めから機能を使いこなせるか」「無料で代替できるものはないか」「収益が上がってからブログに還元する方法」などを検討して、なるべく費用をかけずにスタートしましょう。
無料でスタートできる「note(ノート)」「Ameba」「はてなブログ」でも、収益を上げるブログ運営は可能ですよ。
スキルや知識が身につくか
副業のなかには、「誰でもできる」「スキル不要」を謳っているものが多数あります。スキマ時間にコツコツと稼ぎたいのであれば、こういったタイプの副業でもよいのですが「学生のうちにできること」という視点で考えると少し物足りなく感じるかもしれません。
継続することでスキルや知識が身につき、自身の成長を実感できる副業を選択することをおすすめします。プログラミングの知識が必要な副業なら、プログラマーやシステムエンジニアなどの仕事に活かせるでしょう。ブログ運営やYouTubeのチャンネル運営では、Webマーケティングの知識が身につきます。
Webライターとして公開される記事が増えると、就職活動時にポートフォリオを充実させられますよね。またライター業で培った文章力は、社会人となってからも文書でのやりとりや企画書などに役立てられるでしょう。
リスクの低いものか
手間をかけずに収益を上げられる仕組みとして、株やFX、仮想通貨などが紹介されていることがあります。しかしこれらには元金が必要であり、仕組みによっては「元金割れ」といってマイナスになってしまうリスクがあります。
また成人年齢が引き上げられたことで、18歳から携帯電話の契約や賃貸契約、ローン契約やNISAの口座開設・運用が保護者の同意なしにできるようになりました。これらを利用したビジネスの誘いが増えることが予想されますが、収益の仕組みをきちんと理解して、周りの大人とも相談してから副業を始めるようにしましょう。
学生が副業を始める際の注意点
学生のうちから副業を始めると将来につながる多くのメリットがありますが、副業には詐欺など知っておきたい注意点もあります。3つのポイントを解説するので、それぞれ対策をとり、スムーズに副業を始められるようにしましょう。
「楽して」「大きく稼げる」などの言葉に注意する
クラウドソーシングなどによくある「業務委託契約」は、発注者と受注側が対等の関係にある契約です。そのため労働者として労働基準法で守られることがありません。自分の身は自分で守らなければならない働き方だといえるでしょう。
副業によくあるトラブルには「報酬の未払い」「実現困難な納期の提示」「法令に反した仕事の誘い」「契約料・登録料・研修費などの名目での金銭要求」「代行費用の持ち逃げ」などがあります。
「楽に稼げる」「初心者でも月〇万円」「手間なく高収入」など、おいしい話を強調した怪しい副業の誘いには乗らないように注意してください。
もし怪しい副業と気付かずにトラブルにあってしまった場合は、1人で抱え込まずに信頼できる大人や消費生活センター、警察などへなるべく早く相談しましょう。
学業に支障が出ないか
副業で収益が上がり始めると、大きなやりがいを感じて本業がおろそかになってしまうリスクがあります。また収益がなかなか上がらない場合にも、つい副業に時間をかけてしまい、学業やプライベートに支障が出てしまうかもしれません。
学生の本分はあくまでも学業であり、自由に使える時間が多い学生の期間は人生のなかでも貴重なものです。お金や収入にこだわりすぎず、「今しかできない経験」をたくさんしておくほうが将来的にも有利でしょう。
「副業にかける時間は週あたり10時間まで」「テスト期間は副業を休む」などルールをつくり、学業やプライベートと副業のバランスに気をつけるようにしましょう。
確定申告のことを頭に入れておく
副業である程度の収入が得られるようになったら、学生でも「確定申告」が必要になります。確定申告とは1年間の所得を税務署に申告し、所得税額を算出してもらう手続きのことです。一般的なアルバイトでは、雇用主が年末調整をしてくれますが、副業の場合は自身で手続きをする必要があります。
副業がメインの収入源の場合、所得額が48万円を超えると確定申告が必要です。メインの収入源がアルバイトで、それ以外の副収入として20万円以上の所得があった場合も確定申告をしなければなりません。
また保護者など世帯主の扶養に入っている人は、年間所得が103万円を超えると扶養者控除が適用されなくなり、世帯主の税額にも影響があります。副業を始めたい、学生のうちからまとまった収入を得たいと考える人は、関連する税制についてもきちんと調べておきましょう。
まとめ
学生のうちからビジネスとして副業を始めることは、将来に活かせるスキルを培ったり、ビジネス感覚を養ったりとさまざまなメリットがあります。しかし社会経験の少ない学生には、時間管理の難しさや甘い誘惑など落とし穴も存在するため、自分なりのルールを作ったり信頼できる大人に相談したりして、リスクを背負わずに始められるように気をつけましょう。
副業を始める際には初期費用や仕入れのコストをなるべく抑えて、収益が上がるようになってからビジネスを広げることをおすすめします。また稼ぎたいという動機も大切ですが、購入者目線に立って戦略を考えるとマーケティングの勉強になり、将来的にも役立ちますよ。