サラリーマンが副業で会社を設立して社長になるメリットとは?裏ワザも紹介

会社員の副業が当たり前の時代に突入しています。なかには継続的な収入を得ることに成功して、開業や会社設立(法人化)を検討している人もいるでしょう。本業を持ちながら会社を設立することはメリットもありますが、デメリットもあります。

そこで今回は、会社員が副業で会社を設立して社長になるメリットとデメリットをまとめました。本業にバレたくない場合の対応策にも触れているので、法人化を検討している会社員の人はご一読ください。

フルリモートで経営に近い副業を探せる求人サイト

\かんたん登録/

求人を閲覧

サラリーマンが副業で会社設立して社長になる4つのメリット

サラリーマンが副業で会社設立して社長になる4つのメリット

会社員が収入アップやスキル向上を目的に副業をすることが一般的になりました。さらに一歩進んで、会社員をしながら「社長」となる人もいます。法律上、ある企業に雇用されながら「個人事業主」となったり、事業を法人化して「社長」になることには、特に制約はありません。

また、サラリーマンが副業で会社を設立し、会社員をしながら社長になる主なメリットは4つあります。

  • 節税になる
  • 社会的信用度が上がる
  • 経費として計上できる項目が増える
  • 自分で決算日を決められる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

■関連記事:経営者こそ副業がおすすめ?理由やメリットを解説 

節税になる

法人化して取締役に就任した場合、役員報酬を受け取ることになります。役員報酬は税法上、給与所得扱いとなるため「給与所得控除」を利用できるのです。給与所得控除とは、所得税を計算する際に給与や賞与から一定の額を控除できる仕組みのこと。これによって、大きな節税効果が期待できます。

収入額に応じた給与所得控除額は、以下の通りです。

 給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 

 給与所得控除額 

 1,625,000円まで 

 550,000円

 1,625,001円から1,800,000円まで 

 収入金額×40%-100,000円 

 1,800,001円から3,600,000円まで 

 収入金額×30%+80,000円 

 3,600,001円から6,600,000円まで 

 収入金額×20%+440,000円 

 6,600,001円から8,500,000円まで 

 収入金額×10%+1,100,000円 

 8,500,001円以上 

 1,950,000円(上限) 

引用:給与所得控除|国税庁

例えば役員報酬が年間700万円だった場合、控除額は次の計算式で算出できます。

7,000,000円×10%+1,100,000円=1,800,000円

つまり、所得税や住民税の対象となる給与所得額が、700万円から180万円を差し引いた520万円となるのです。個人事業主の報酬は事業所得に該当しますが、給与所得控除は使えません。節税効果が高いといわれる青色申告でも、特別控除は最大65万円までです。会社設立によって大きな節税効果が期待できるといえるでしょう。

■関連記事:【副業で法人設立】役員報酬ゼロだと社会保険はどうなる?

社会的信用度が上がる

個人事業主に比べると、法人化したほうが社会的信用度が上がるのもメリットです。法人にした場合、登記簿謄本に企業名や事業目的、代表者の氏名など会社の情報が記載されます。謄本は法務局に行けば誰でも取得、閲覧可能です。このように、公的機関に情報が記載されることが社会的な信用につながっているといえるでしょう。

個人事業主とは取引しないという企業も多数あります。法人化で取引先の選択肢が広がり、ビジネスチャンスも拡大するかもしれません。また銀行からの融資も受けやすくなります。資金を調達しやすいのは、事業を進めるにあたって大きなメリットといえるでしょう。

経費として計上できる項目が増える

会社を設立すると、経費計上できる項目が増えます。例えば個人事業主の場合、体調を維持するための健康診断や、リフレッシュするためのジム代は経費になりませんよね。しかし、法人化すれば、このような費用も福利厚生費として計上可能になるのです。また給与所得扱いとなるため、自身に支払った報酬も経費として計上できます。

自分で決算日を決められる

個人事業主の場合は1月〜12月の1年間の収入・支出を基に所得税や住民税を算出します。しかし、法人の場合は決算日を自由に設定可能です。例えば、3月や9月を決算月にすることもできます。

繁忙期を避けた月に決算日を設定すれば、業務もスムーズに進みやすいでしょう。売り上げがピークの時期を事業開始月に設定すれば、その年度の収益予測も立てやすくなります。節税対策にもゆっくり取り組めるでしょう。

サラリーマンが副業で会社設立して社長になる3つのデメリット

サラリーマンが副業で会社設立して社長になる3つのデメリット

サラリーマンが副業で会社を設立するのはメリットだけではありません。主なデメリットは、次の3つです。

  • 設立費用がかかる
  • 処理が複雑になる
  • 赤字でも税金の負担がある

それぞれ解説します。両方を理解したうえで法人化するかを検討しましょう。

設立費用がかかる

個人事業主になるために特別な費用はかかりません。開業届を記入して税務署に提出するだけです。一方、法人の場合は設立するために費用がかかります。設立費用は会社の形態によって異なりますが、株式会社の場合は約25万円です。これに加え、資本金が必要となります。また設立後は社会保険の加入が必須です。個人事業主に比べると費用負担は大きいといえるでしょう。

処理が複雑になる

法人にした場合、会社法に従って個人事業主以上に複雑な決算業務をしなければなりません。税務面では個人よりも厳密な処理を求められ、事務手続きも増えるため、すべて自分でこなすのは難しいでしょう。そのため専門家に依頼するのが一般的ですが、依頼にもコストがかかります。

赤字でも税金の負担がある

個人事業主の場合、赤字なら所得税や住民税を支払う必要はありません。しかし、法人の場合は赤字でも「法人住民税」を支払う必要があります。資本金や従業員の規模によって金額は異なりますが、最低でも7万円が課税されることを覚えておきましょう。

また資本金が1億円を超える場合は、事業が赤字でも法人税が課税されます。免税業者でない場合は、消費税も支払わなければなりません。このように利益が出ていない場合でも、事業を維持するために費用がかかるのです。

サラリーマンが副業で会社を設立するタイミングは?

サラリーマンが副業で会社を設立するタイミングは?

メリットもデメリットもある会社設立。深く考えずに設立しようとすれば、節税どころか大きく損してしまう可能性もあります。では、サラリーマンが副業で会社を設立する場合、どのようなタイミングで検討するべきでしょうか。ここでは2つのパターンを解説します。

課税売上高が1,000万円を超えたとき

1つめは課税売上高が1,000万円を超えたときです。なぜなら売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生じるから。しかし、1,000万円を超えてすぐに課税対象となるわけではありません。最初の2年は免除されます。そのため、1,000万円を超えたタイミングで設立すれば2年間は消費税を支払う必要がありません。節税効果を得られるでしょう。

利益が500万円を超えたとき

2つめは利益が500万円を超えたときです。個人事業主の場合、累進課税制度となっていて所得が上がるにつれて所得税の税率が増えます。例えば課税所得額が500万円なら、所得税率は20%です。これにプラスして一律10%の住民税がかかります。

法人の場合は、所得税ではなく法人税を納めることとなりますが、所得が高くても税率は最大23.2%です(事業を開始した年度が2019年4月1日以降の場合)。そのため、ある程度の利益が出せるようになったら個人事業主よりも法人化したほうが税金の負担を軽くできるでしょう。

社会的信用が必要になったとき

前章でも解説した通り、個人事業主とは取引しないという方針を持っている企業も多く存在しています。つまり法人化することで、さらに多くの会社と取引できる可能性が増え、ビジネスのチャンスも広がるでしょう。将来的にさまざまな企業と取引したいと考えているなら、法人化を検討してはいかがでしょうか。

副業で会社設立したら本業にバレる?

副業で会社設立したら本業にバレる?

副業ブームといわれている時代ですが、副業を認めていない企業も多くあります。基本的には本業の就業ルールに従うべきですが、やむを得ず副業している人もいるでしょう。会社設立が本業にバレる可能性は主に2つあります。

一つは住民税が高額になった場合です。住民税は前年の所得額に応じて算出されますが、基本的に本業の給与から天引きされます。給与額が変わっていないのに、住民税だけ極端に増えていたらおかしいですよね。そのため、担当者から他に収入があるのではと疑われるきっかけとなるのです。

このようなケースを防ぐためには確定申告する際、役員報酬分の住民税の徴収方法を「普通徴収」にすることです。普通徴収にすれば住民税が本業の給与から天引きされず、自分で直接納めることとなります。ただし、自治体によっては普通徴収に対応してくれない場合も。不安な場合は、事前に確認しておくのがおすすめです。

もう一つは会社の登記情報からバレるケースです。可能性としては低いですが、登記情報は誰でも閲覧できます。たまたま仕事の関係で調べていたら、バレてしまったという可能性もないとは言い切れません。

【裏ワザ】会社設立が本業にバレたくないなら妻を社長に

【裏ワザ】会社設立が本業にバレたくないなら妻を社長に

本業にバレたくない場合、自分ではなく妻を社長にするのも一つの方法です。自分の名義を一切使用しないため、登記情報からバレることもありません。利益を妻名義の会社に計上すれば自分の住民税は増えないため、本業に通知される心配もなくなります。

また、個人資産を管理するために作る会社を「プライベートカンパニー」といいます。妻を社長にしたプライベートカンパニーを作れば、税金のコントロールがしやすくなり節税対策にも有効です。

まとめ

会社員が仕事を続けたまま会社を設立するメリットとデメリット、設立のタイミングを解説しました。設立費用や社会保険の負担、手続きが複雑になるなど手間はありますが、大きな節税効果が期待できるのは法人化です。

一定の利益額を超えた場合は、個人事業主よりも税率が低くなります。安定して高所得を得られるようになったら検討するとよいでしょう。もし本業にバレたくない場合は、注意が必要です。確定申告の際に普通徴収を選択する、会社の名義を妻にするなど事前に対策しておきましょう。

■こちらもおすすめ
独立したいなら副業から始めるのがおすすめ!理由と成功のポイントを解説
副業で学べる!CHROの仕事と3つの役割
個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき|国税庁

フルリモートで経営に近い副業を探せる求人サイト

\かんたん登録/

求人を閲覧