「在宅ワーク」は、その名の通り家にいながらにして仕事をすることができる働き方です。一昔前と比べると、最近は仕事中心にならずプライベートも重視し、生活を充実させたいと考える人が増えたことで「ワークライフバランス」の良い在宅ワークにも注目が集まっています。
しかし、在宅ワークは働く側だけにメリットがあるというものではありません。実は、企業にとってもメリットが多く、在宅ワークを取り入れる企業は増加しているのです。
今回は、企業が在宅ワークを活用する理由をご紹介します!また、積極的に取り入れている業界もピックアップします。
企業が在宅ワークを活用するメリット
働く側のメリットが注目されがちな在宅ワークですが、企業にも活用するメリットがあります。企業が在宅ワークとを導入した場合のメリットをご紹介します。
企業が在宅ワーク導入で得られる具体的なメリット
優秀な人材を確保しやすい
そもそも企業にとっての優秀な人材とはどのようなものなのでしょうか。一部では無遅刻無欠勤がその目安になることもあるようですが、実際には仕事の成果を上げることができる人材が重要でしょう。スキルや経験があるけれど、介護や育児などさまざまな事情で毎日通勤するということができず、働くことができないという人も大勢います。
在宅ワークであれば、それらの優秀な人材を確保することができるのです。
オフィス賃料の節約になる
企業に勤める社員全員が仕事をするためのスペースを確保するとなると、その人数に合わせた広さのオフィスを用意する必要があります。広さが必要となると、賃料も高額になります。
しかし、在宅でできる仕事は在宅で行い、出社を必要最小限にすれば、これまでのような広いオフィスは必要ありません。業種によっては、オフィス自体が必要なくなったというケースもあります。オフィス賃料の節約になるのです。
電気代の削減に繋がる
オフィスには照明などのほか、パソコンなどのIT用品など電気を使うものに溢れています。在宅ワークを導入し、出社の人数が少なくなると、これらの機材を使う人数も少なくなるので、必然的に電気代の削減にもつながります。
通勤交通費の削減になる
社員が通勤するための交通費を企業は負担する必要があります。特に、都心部の企業になると、かなり離れた場所から通勤している社員も多く、コストがかかりがちです。
しかし在宅ワークであれば、出勤する必要がないのですから通勤の交通費を削減することができます。
ギリギリまで働いてもらえる
近年では共働き世帯も多く、育児休暇を取得する人も増えています。企業の戦力となっていた人物達が育児休暇で完全に抜けてしまうと、その仕事を誰かが負担することになったり、慣れない人材が引き継ぐことになるので、企業としては効率が下がってしまうのは仕方がないことでした。
しかし、在宅ワークであれば大きな負担となりやすい通勤の必要がないうえに、家でリラックスしながら仕事をすることができます。また隙間時間を活用することもできるので、ギリギリまで働いてもらえる可能性が高くなります。
従業員満足度が高くなる
在宅ワークのメリットは、仕事もプライベートも充実させてライフワークバランスを保つことができるという点です。生活そのものが充実してくると、従業員の満足度が高くなります。
従業員満足度が高くなると、働く意欲も上がり積極的に業務に取り組んでもらえることにつながります。
退職率が低くなる
退職に至るにはさまざまな理由があります。しかし、それが人間関係からくるストレスや、育児、介護などであった場合、在宅ワークを導入することで解決することも考えられます。
退職率を低くできれば、スキルや経験のある人材を育て活躍してもらうことができます。
ペーパーレス化が進む
書類を紙で管理するということは、スペースと労力を要するものです。また、承認にも時間がかかり効率的であるとも言えません。
在宅ワークを導入する場合、紙の書類で業務を進めることはできません。書類はクラウド管理にするなど、PC上でやりとりができるシステムを導入する必要があるので、ペーパーレスを進めることが可能になります。
災害発生時でも安心できる
現在、世界中で自然災害や感染症のパンデミックが頻繁に起こっています。これらは突然起こるものであり、いくら警戒しても被害を逃れることができないこともあります。
在宅ワークを導入しておけば企業はペーパーレス化が進みますので重要な書類が災害で紛失してしまうこともありませんし、在宅であれば帰宅困難者も発生しません。また、感染症が流行しても感染のリスクを抑えて自宅で業務を進めることができます。
コストパフォーマンスがいい
これまでのオフィスといえば、社員ひとりひとりに机を用意して仕事をするというパターンが一般的でした。
在宅ワークを導入すると、固定のデスクが必要ありません。出社が必要な場合には「フリーアドレス制」を導入すれば、社内の好きなスペースを利用し仕事をすることができます。仕事に必要な備品が少なくなるので、コストパフォーマンスが良いと言えます。
在宅ワークに積極的な業種とは?
メリットの多い在宅ワークですが、どんな仕事でもできるという訳ではありません。現段階では販売業や、製造業などは難しいかもしれませんが、これまで在宅ワークは想定されていなかった業種が大企業をはじめ、さまざまな企業に導入されるようになってきました。
在宅ワークに積極的な職種をご紹介します。
IT・通信
IT・通信などのインターネット業界は、積極的に在宅ワークを導入してします。
在宅ワークの多くはPCがあればできるものがほとんどですから、エンジニア系の仕事は在宅ワークと非常に相性が良いと言えます。
流通
生産と消費を結びつける流通業。実際の作業が多く必要になる業界なので、一見消極的に感じられますが、在宅ができない仕事が多く高コストなため、在宅でできる仕事は積極的に在宅ワークを行っています。
建設・不動産
建設・不動産業も積極的に在宅ワークを行っています。顧客との打ち合わせにはZoomなどのビデオ通話を利用することで、直接会うことなく商談も行えます。また、これらのツールを利用することで、これまで遠方で縁がなかった顧客ともやりとりができるようになっています。
出版
出版業は編集・ライティング・校正などをPCで行えるので、積極的に在宅ワークを取り入れています。近年では電子書籍や、Webメディアも増加しているため、出版業も在宅ワークと相性の良い業種だと言えます。
通信教育
従来、通信教育はテキストなどを郵送するシステムが一般的でしたが、Zoomなどのビデオ通話ツールを利用することで、さらに可能性を伸ばすことができたとも言えます。在宅ワークでオンラインレッスンを行うこともできます。
広告代理店
広告代理店もPCを使った業務やZoomなどを利用した打ち合わせで仕事ができるため、積極的に在宅ワークを行っています。広いオフィスが必要なくなり、移転する企業も増加しています。
人材派遣
経歴やスキル、人柄などを見極め企業に人材を派遣する人材派遣の仕事ですが、こちらも在宅ワークでスムーズに業務を行えるようです。面接をオンラインで行うことで、効率的に進めることができます。
コンサルティング
アドバイザー役のコンサルティングも、直接対面することなくビデオ通話で助言や指導を行うことができます。在宅ワークであれば、出向く必要もなく移動時間を効率的に利用することができます。
士業
弁護士・公認会計士・行政書士などの士業。紙でなければならない書類も多々存在しますが、本来取り扱う書類やデータが非常に多い仕事がほとんどですが、ペーパーレスを進めることで、在宅ワークを行うことができます。
【その他】フリーランスという働き方も
在宅ワークの増加とともに、企業などに所属せずに働くことができるフリーランスを選ぶ人も増えています。何かしらのスキルを持っている人は、高報酬を得ることができるので、より自由度の高い働き方を選ぶこともできます。
まとめ
働くスタイルは、働き手、雇い主のどちらかにメリットがあるだけでは、なかなか浸透するものではありません。その点、在宅ワークという働き方は双方に大きなメリットがあるので、これからも多くの業種で発展していくものと考えられます。
在宅ワークという働き方から仕事を選ぶのであれば、在宅ワークというスタイルと相性の良い業種を選ぶと良いのかもしれません。