IT業界は比較的早くから在宅ワークの仕組みが整っており、フリーランスで活躍する人も多い業界です。IT業界でもエントリーしやすい職種として「エンジニア」が気になっている方もいるのではないでしょうか。
エンジニアの基本的な知識から年収、好待遇の理由までを解説します。
景気に左右されない?!エンジニアってどんな仕事?収入や細かな業種をご案内
エンジニアとは
エンジニアは「工学(エンジニアリング)」に携わる人という意味で、機械設計や電子関連の開発分野で使われていた言葉です。近年のIT技術の発展から、コンピューター関連のエンジニアが増え、システムエンジニアやITインフラエンジニア、ネットワークエンジニア、Webエンジニア、サーバーエンジニア、制御系エンジニアなど、専門分野によって名称が変わりますが「技術者」という意味では一貫しています。
エンジニアのイメージ
身の回りにも「IT系の会社員」「SEやっています」「ものづくりがしたくてエンジニアに」という人がいるのではないでしょうか。友人・知人から受けた印象やメディアでのイメージをまとめました。
収入が高そう
・理工系の学歴がある人は好待遇の求人が多い
・フリーランスで会社員とは比較にならない収入を得ている人がいる
・いつも最新のパソコンを持っているので収入が高いのでは
・先端技術のベンチャー企業は報酬も高いと聞いたことがある
忙しそう
・システムを止められないため、早朝・深夜の業務が多いらしい
・プロジェクトごとに納期があるので、いつも忙しそう
・休日でもトラブル対応で呼び出される人がいる
・頭脳労働なのに働く時間が長く体力も必要そう
・睡眠不足が常態化しているイメージ
こだわって仕事をしていそう
・「理系の人」という感じで技術にこだわっている人が多そう
・パソコンやインターネットについてすごく詳しいのでマニアックな仕事だと思う
・ひとつのバグで不具合が生じるような仕事なので、ミスにも神経質そう
・数学に強く、まじめにコツコツと仕事に取り組める人が多い
エンジニアの年収は?
厚生労働省では、日本国内の賃金構造の実態を詳細に把握するため年に1度「賃金構造基本統計調査」を行っています。この調査をもとに、エンジニアの年収に迫ってみましょう。
全体の平均年収
2017年の調査ではシステムエンジニアの平均年収は550.8万円でした。全職種の平均年収が454.5万円なので、システムエンジニアの年収は比較的高いといえます。
2013年からの5年間の推移でも常に500万円を超えており、最高値は2013年の597.9万円でした。同年の全職種の平均年収は435万円だったので、その差額は162.9万円になります。2017年の差額は96.3万円で、全職種の平均との差が小さくなりつつあるとはいえ、景気動向にも左右されにくい高水準が続いています。
年齢ごとの平均年収
・20代前半(20~24歳)の平均年収は339.7万円
全産業では206.7万円なので、差額は133万円
・20代後半(25~29歳)の平均年収は441.1万円
全産業では238.9万円なので、差額は202.2万円
・30代前半(30~34歳)の平均年収は519.1万円
全産業では272.2万円なので、差額は246.9万円
・30代後半(35~39歳)の平均年収は539.7万円
全産業では301.1万円なので、差額は238.6万円
・40代前半(40~44歳)の平均年収は576.9万円
全産業では327.4万円なので、差額は249.5万円
・40代後半(45~49歳)の平均年収は605.5万円
全産業では352.3万円なので、差額は253.2万円
・50代前半(50~54歳)の平均年収は622.4万円
全産業では372.5万円なので、差額は249.9万円
・50代後半(55~59歳)の平均年収は632.3万円
全産業では363.7万円なので、差額は268.6万円
就職したばかりの20代でも、システムエンジニアは他の職種に比べ好待遇の収入でスタートできており、年齢が上がってスキルを培うにつれ差額は270万円近くにまで広がっています。生涯年収も大きく変わることでしょう。
男女ごとの平均年収
男女別に平均年収をみてみると、20代前半ではほぼ変わらなかった年収が、20代後半から女性の方が低くなっています。その差額は124.5万円にまで広がりますが、50代後半で再び追いつくという構造もみえます。
・20代前半(20~24歳)男性の平均年収は337.6万円
女性は341.9万円なので、女性の方が多く差額は4.3万円
・20代後半(25~29歳)男性の平均年収は450.9万円
女性は431.2万円なので、男性の方が多く差額は19.7万円
・30代前半(30~34歳)男性の平均年収は541.0万円
女性は497.2万円なので、男性の方が多く差額は43.8万円
・30代後半(35~39歳)男性の平均年収は582.1万円
女性は497.4万円なので、男性の方が多く差額は84.7万円
・40代前半(40~44歳)男性の平均年収は631.2万円
女性は522.5万円なので、男性の方が多く差額は108.7万円
・40代後半(45~49歳)男性の平均年収は667.8万円
女性は543.3万円なので、男性の方が多く差額は124.5万円
・50代前半(50~54歳)男性の平均年収は664.5万円
女性は580.2万円なので、男性の方が多く差額は84.3万円
・50代後半(55~59歳)男性の平均年収は645.3万円
女性は619.4万円なので、男性の方が多く差額は25.9万円
業種ごとによる差も!
「エンジニア」の仕事はIT系や工学系の業界にまたがります。業種ごとの差に注目してみましょう。転職サービス「リクナビNEXT」のTech総研が公開している30代前半の年収調査からご紹介します。
エンジニアの平均年収は30歳時に471万円で、その後堅調に上昇し、35歳で557万円に達しています。これをソフト系エンジニアとハード系エンジニアに分けてチェックしてみましょう。
ソフト系エンジニアの平均年収
ソフト系エンジニアの平均年収は30歳時に465万円で、その後堅調に上昇し、35歳で562万円に達します。
業種別にみた平均年収の最高額は金融・保険系で744万円、最高年収は大手SIer/NIer・コンサルティングファーム・ベンダーの1350万円でした。
以下の11の業種では、エンジニアの平均年収550万円よりも多くなっています。
・金融・保険系
・外資系SIer/NIer、コンサルティングファーム
・総合電機メーカー
・専門コンサル系
・大手SIer/NIer、コンサルティングファーム、ベンダー
・医薬品・化粧品メーカー
・大手SIer/NIer、コンサルティングファーム、ベンダーの子会社、関連会社
・通信系
・コンピューター・通信機器・OA機器関連メーカー
・家電・AV機器・ゲーム機器メーカー
・インターネット関連系
ハード系エンジニアの平均年収
ソフト系エンジニアの平均年収は30歳時に478万円で、35歳時には553万円に達します。
業種別にみた平均年収の最高額は半導体設計で569万円、最高年収は生産技術・プロセス開発とサービスエンジニア・FAEの1500万円でした。
以下の7つの業種では、エンジニアの平均年収550万円よりも多くなっています。
・金融・保険系
・専門コンサル系
・医薬品・化粧品メーカー
・総合電機メーカー
・医療機器メーカー
・家電・AV機器・ゲーム機器メーカー
・コンピューター・通信機器・OA機器関連メーカー
エンジニアの年収はどうして高いの?
「エンジニアは報酬がいい」という世間のイメージ通りに、実際の平均年収も高い傾向にあることがわかりました。その理由を3つご紹介します。
人材不足だから
IT技術や先端技術を活用した社会様式が進み、エンジニアは常に人材不足の状態です。2019年に経済産業省が発表した試算によると2030年には約45万人の供給ギャップが生じるとされています。
専門知識が必要だから
エンジニアには専門的な知識や技術スキルが必要なため、「いつでも誰でもなれる」という職業ではありません。一定時間を学びに充てたり、資格取得のための勉強を重ねたりという優秀な人材を獲得するために、雇用側も高い報酬を用意しています。
実力第一で昇給するから
IT業界は月給制のほか、年俸制を導入している企業も多くあり、「実力第一主義」ともいえる世界です。そのため、能力の高い人材が1000万円を超える報酬を得ることも珍しくなく、全体の平均値を押し上げています。
まとめ
エンジニアは「人材不足」「専門スキル」「実力主義」の3点から、高収入が期待できる職種です。今後も先端技術や専門技術に対応した人材が求められることが予想され、非常に将来性の高い業界といえるでしょう。