30代は資産形成や今後のキャリアについて真剣に考える年代。選択肢の一つとして、副業に興味を持つ人も多いでしょう。副業探しで有利になるように、資格を取得しようと考える人もいます。しかし、世の中には各分野さまざまな資格があり、どれを取得するべきか悩ましい問題です。
今回は、これから副業を始める30代ビジネスパーソンにおすすめの資格を紹介します。併せて収入アップにつながる資格の条件、選ぶ際にチェックすべきポイントを解説するので、資格の勉強を始める前にぜひご一読ください。
そもそも副業するために資格は必要なの?
世間では、副業や転職のために資格取得をすすめる声が頻繁に聞かれます。しかし、本当に資格がないと副業で不利なのでしょうか。
難易度によって所要時間は変わりますが、資格取得には準備期間が必要です。取得してから副業を始めるとなると、実際に収入を得られるまでに時間がかかってしまうでしょう。早く収入アップしたい人は、まず本当に資格が必要なのか検討するのがおすすめです。ここでは資格と副業の関連性を考察します。
収入を増やしたいだけなら不要
結論から言うと、新しく資格を取得しなくても、副業で収入アップは可能です。近年話題になっている人気の副業、YouTuberやブログ運営、フリマアプリなどを利用した転売に特別な資格は必要ありません。これらの副業に取り組んでいる人たちは、難関資格ではなく、自身のアイデアや工夫によって収益を上げています。
現在はサービスもビジネスも多様化していて、ひと昔前には存在しなかった副業が急激に増えています。こうした仕事のほとんどには公的な資格がないため、誰にでも稼げるチャンスがあるのです。
本業や副業に役立つなら有効
一方で、現在でも資格が役に立つ仕事は多くあります。例えば、事務職であれば簿記の資格は有利に働くでしょう。副業ならオンラインの経理事務の仕事が受注しやすくなりますし、本業なら給与や役職も上がるかもしれません。
さらに、資格を持っていると、副業でもプロフェッショナルとしての自信や、やりがいを感じられます。副業は体力的に負担があったり、本業との両立が難しかったりといった問題があり、継続していくにはモチベーションが必要です。
資格を取ることが必ず副業の収入アップにつながるわけではありませんが、長期的な視点で考えるとプラスに働く場面が多いでしょう。
副業に役立つ!30代におすすめの資格5選
次に、副業向けの資格にはどのような種類があるか具体的に見ていきましょう。ここで紹介するのは以下の5つです。
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 日商簿記検定
- 宅地建物取引士
- TOEIC
- プログラミング言語
それぞれの特徴や、どんな副業に活かせるか解説します。
FP(ファイナンシャルプランナー)
家計のプロフェッショナルといえるFPは、近年注目が集まっている資格です。権威ある国家資格ですが、比較的難易度が低いのも人気の理由でしょう。資格を活かして高収入を目指すなら、FP2級以上を取得するのがおすすめです。
FPは税金や保険、資産運用に関する幅広い知識を持ち、各家庭のマネープランへアドバイスします。金融機関や保険会社の仕事もできますが、副業ならもっと自由に、ライフプランナーとして個人で活動してもよいでしょう。
オンラインで家計見直しの相談を受けたり、Webライターとしてお金に関する記事を書いたりも可能です。現在はさまざまな副業の場で、FP資格を持った人が活躍しています。
日商簿記検定
日商簿記検定を持っていれば、経理や事務の副業で有利になります。売上や仕入れなど企業のお金の流れを計算して記録する仕事で、アピールポイントにするなら日商簿記2級以上の取得が必要です。
現在はリモートワークや、クラウドソーシングでも事務の案件が増えています。オンライン事務は人気の副業のため、高い競争率を勝ち抜くためにも簿記の上位資格を持っておくと心強いでしょう。
簿記は企業の経営状況や財政状態を明らかにするために必須の資格であり、当面は高いニーズが見込まれます。事務に関連する副業をしたいなら、おすすめの資格です。
宅地建物取引士
宅建とも呼ばれる、宅地建物取引士の資格も人気です。不動産会社と顧客との間に立って、専門家として顧客にアドバイスします。宅地建物取引士のポイントは、業務独占資格の1つであり、有資格者しか業務につくことが許されていないことです。宅地建物取引士は不動産取引に欠かせない存在であり、資格を持っていれば、副業などのスポットでも働いてほしいと考える不動産会社は多いでしょう。
さらに、不動産業界に関する記事を書いたり、宅地建物取引士の取得を目指す人に勉強を教えることもできます。不動産のプロフェッショナルとして、活躍の場はさまざまです。
TOEIC
英語のスキルレベルを表す資格が、TOEICです。一般的に600点以上あればアピールポイントになるといわれますが、英語を使った副業がしたいなら700点以上あるのが望ましいでしょう。
TOEICで高い点を取れば、オンラインの英会話講師や翻訳の仕事に挑戦することが可能です。現在ではビデオ会議の普及に伴って、自宅で通訳の仕事もできるようになりました。事務仕事でも、英語が必要な外資系企業で働くことができるでしょう。
TOEICはリーディング・ライティング・リスニング・スピーキングと、全般的な英語力が求められます。さらに、一般的な英会話だけでなく、ビジネス英語の知識も必要です。点数が高いほど条件の良い副業につながるので、1度の挑戦で終わらず、何度も受験してスコアを上げていくのがおすすめです。
プログラミング言語
プログラミングは、空き時間にリモートで取り組める人気の副業です。資格がなくても仕事はできますが、副業の案件を獲得するには、客観的にスキルレベルが判断できる資格を所持していると有利でしょう。
プログラミングに関する資格はいくつかありますが、副業や転職でアピールするためには、より上位の資格が求められます。応用情報技術者試験やシステムアーキテクト試験の資格があれば、副業でもかなりの好条件が見込めます。また、難易度の低めの基本情報技術者試験も十分にプログラマーとしてのアピールポイントになります。
技術の進歩や、各業界のDX化によって、プログラマーの需要はますます高まっています。それに伴って、新しくプログラミングを勉強する人が増えてきました。周りと差別化するためにも上位の資格を狙うべきでしょう。
稼げる資格の特徴とは?
せっかく勉強するなら、高い収入が得られる資格を選びたいですよね。稼げる資格には条件があります。資格の勉強を始める前に、その資格が本当に収入アップにつながるのか、以下の2点を確認しておきましょう。
- 取得しないと、その仕事ができない資格かどうか
- 難易度の高い資格かどうか
それぞれ詳しく解説します。
持っていないと業務ができない資格
業務独占資格と呼ばれる、特定の業務に従事するために必須とされる資格を持っている人は、世間的にも収入が高い傾向にあります。
業務独占資格のなかでも有名な資格は、弁護士・看護師・税理士・公認会計士などです。他にも法的な書類を作成する行政書士や、労務管理や保険の指導を行う社会保険労務士などがあります。先ほど紹介した宅地建物取引士も業務独占資格の1つです。
業務独占資格は有資格者でないと仕事できないため、社会的にニーズがある資格なら高い収入が見込めます。副業する場合も、報酬や働く時間について、自分の希望が通りやすいでしょう。
難易度の高い資格
資格は、誰でも簡単に取れるものでは意味がありません。副業で高収入を稼ぐなら、難関の資格を目指しましょう。資格の難易度が高いほど持っている人が少ないため、人材としての希少価値が高い傾向にあります。例えば、看護師や社会保険労務士の資格があれば、専門的な記事を書くライターや、オンライン講師の副業も報酬単価がグッと上がります。
難易度の高い資格は、今後のキャリアを形成していくうえで強い武器となることは間違いありません。副業から始めて、将来的には起業して独立も可能になるでしょう。
資格を選ぶ際の3つのポイント
どの資格取得を目指すか決める前に、知っておきたいポイントを紹介します。資格の勉強には労力も時間もかかります。資格選びで後悔しないよう、以下の3つの点を確認しておきましょう。
- 興味関心が持てるか
- 理想とする働き方に役立つか
- 将来性があるか
それぞれ詳しく解説します。
興味関心が持てるか
どの資格を取得するか決めるときには、勉強する内容や資格を使う仕事に対して、自分が興味を持てるかを重視しましょう。口コミで高収入につながると聞いたから、知人が取得して成功しているから、あるいはかっこいいイメージがあるから、といった理由で資格取得を目指す人もいます。しかし、本業も忙しいなかで、自分が興味のない分野を勉強するのは苦痛です。
例えば自分自身のマネープランについて考えている人にはFP、英語圏のカルチャーに興味がある人にはTOEICの勉強が、興味深く感じられるのではないでしょうか。勉強自体を楽しめる資格を目指すことが、挫折しない秘訣です。
理想とする働き方に役立つか
副業のための資格選びでは、自分のライフスタイルと照らし合わせて考えることも重要です。特に、自宅で空き時間にしか副業に取り組めない場合、リモートワークができない職種の資格を取得しても意味がありません。他にも1日どのくらいの作業時間になるか、月どのくらいの収入になるかなど、その資格を使う副業と自分の理想の働き方とがマッチしているか考えましょう。
おすすめは副業サイトでその資格が活かせる仕事を検索し、実際の条件を確認しておくことです。働きやすいと感じる案件がサイト上で多くヒットすれば、自分のライフスタイルに適しているといえます。
将来性があるか
取得する資格を選ぶうえで、もう1つ重要なのは資格が活かせる職種の将来性です。技術の急速な進歩により、今後は仕事内容や働き方が大きく変化すると見られています。
特に、人工知能が多くのビジネスの現場で、人間に代わる役割を果たすようになるだろうという予測が大きな話題になりました。長い時間をかけて資格を取得しても、いざ仕事を探すとほとんど新規の求人が出ていない可能性もゼロではありません。
さらに社会情勢の変化などで、資格の市場価値が下がってしまうケースもあります。業界や社会全体の動きに目を光らせ、将来的にもニーズのある資格を選ぶ必要があるでしょう。
まとめ
資格取得は、副業のための選択肢の一つです。副業で稼ぐために絶対に必要な条件ではありませんが、資格があれば自身の市場価値を高めたり、仕事にやりがいを感じられるようになります。
資格にもさまざまな種類があり、どの資格を取得するか決めるには、難易度や将来性などを考慮する必要があります。そして世間的な人気やイメージに左右されず、自分自身の興味やライフスタイルに合わせて資格を選ぶのがよいでしょう。
資格の種類にもよりますが、本業のかたわら勉強するのは大変です。途中で挫折しないためにも、自分が興味を持って取り組めて、かつ将来的に役立つ資格の取得を目指しましょう。